十五日に発表されたアテネ・パラリンピックの水泳競技代表選手に、浜松市根洗町の鈴木孝幸君(17)=聖隷クリストファー高三年=が選ばれた。鈴木君は生まれつき手足に障害を持つ。競技水泳の世界に飛び込んで二年足らずだが、得意の自由形で国内大会を制するなど急成長中。大舞台への切符を手にした鈴木君は「うれしい。選んでもらったからには、それなりのタイムと結果を残したい」と大会を見据える。
鈴木君に吉報がもたらされたのは同日午後六時半すぎ。同市の北部水泳場で普段通り、所属する「ぺんぎん村水泳教室」の仲間と練習を終えた直後、日本代表選手団の関係者が携帯電話で知らせてきた。仲間からは祝福の拍手が沸いた。二百メートルフリーリレーと百五十メートル個人メドレーへの出場が確実視されている。
鈴木君は四肢が欠損して生まれ、左手は親指と薬指がなく、右腕はひじまでしかない。左脚は太ももの中間、右脚は付け根からない。しかし、日々のトレーニングで体型は逆三角形そのもの。泳ぎは力強く、ぶれない。
小学生の時から鈴木君を知る同水泳教室代表の伊藤裕子さんは「顔の水をぬぐうこともできず、健常の子供よりも水に大きな不安を抱いていた子が大舞台に立てるなんて」と感無量。
鈴木君が本格的に競技水泳に取り組んだのは高一の夏。その秋の県障害者スポーツ大会にオープン参加し、日本身体障害者水泳連盟の幹部の目に留まる。「泳ぎ込めば(アテネに)行けるかも」と助言され、伊藤さんの指導の下、一回の練習で三千メートル近くを泳ぎ込む日々が続いた。練習のかいあって、自己ベストは自由形五十メートルが41秒64、百メートルは1分33秒34。百メートルは昨秋、初優勝した国内最高峰の大会「ジャパンパラリンピック」での記録よりも3秒以上縮めている。
現在は週四回、放課後に練習に励む。夢の大舞台に向かって鈴木君の挑戦は続く。