海外需要増、相場が上昇…
焼津の特産品で、和食に欠かせない鰹(かつお)節が、グローバル経済の狭間で揺れている。原料のカツオの需要が海外で急増し、国際相場が上昇。製品価格がほとんど変わらない中、製造業者からは「適正な加工賃など出ない」とため息が漏れる。大半の業者が自主減産で急場をしのぐ状況下、投票日が迫った参院選に業界の視線が注がれる。国政は水産加工業という「1・5次産業」の将来を、どのように考えるのか―。
加工用冷凍カツオの相場は昨年6月にキロ当たり110円前後だったが、ことし6月は170円前後まで上昇した。背景にはBSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザ騒動を受けて欧州で魚食が広がったことや、中国の購買力が高まったことがある。インド洋での不漁やユーロ高も原魚高騰に追い打ちをかけた。旺盛な需要を背景にした海外勢に、魚食の本家ともいえる日本が買い負けしている状態だ。
焼津鰹節水産加工業協同組合によると、組合加盟業者の6月の生産量は、前年に比べて平均3割減少した。「作るほど赤字という状態を避けるための自主的な措置」と同組合。減産は昨年11月ごろから徐々に始まったという。
久野匠1組合長は「相場は5月から一段と上昇したが、製品価格は伴わない。下請け生産が中心の業者は特に苦しい」と説明し、「適正価格の原魚の確保と、地域ブランドで消費者にアピールすることが組合の目下の課題」と強調する。本年度、国などの助成で冷凍施設を建設し、独自のブランド戦略も進める。
国内最大の鰹節産地の鹿児島県・枕崎では生産者の苦境を消費者に伝える意味も込め、17日から5日間、地元業者が一斉に操業を休止した。
森喜朗内閣以降、政府はIT関連など先端産業の育成に力を注ぐ。焼津市内の水産加工業者の1人は「日本の食文化を支えているという誇りはあるが、自助努力だけで現況を耐え抜ける業者ばかりではない」と胸の内を明かし、関連施策の拡充を求めている。
自民、民主両党のマニフェストは農林水産業の振興をうたう。だが、市場原理が生んだ魚価高騰という荒波に対し、加工業者を支える「セーフティネット」はどこにも見つからない。