教員として脂が乗り切っていた。まさに「バリバリ」と仕事をしていた。中堅どころで、生徒会など労力が必要な校務分掌を任されていた。
変調が表れたのは2年前の春。布団に入っても1時間おきに目が覚める、寝られない焦り、朝のつらさ。意欲が全くわかず、1人でいると強烈な不安感に襲われた。「心と体がギブアップしていたのに、無理を続けて壊れてしまったんでしょうね」。精神疾患で休職中の県内の40歳代の中学男性教諭は、自分の身に起きたことを語り始めた。
授業中に息苦しくなり、立っていることもつらくなると廊下に出て新鮮な空気を吸った。早退を繰り返すようになった。「何が起きたんだ」。メンタルヘルスへの知識もなかった。内科では異常が見つからず、受診を勧められた精神科での診断は「うつ病」。医師に休むよう言われたが抵抗し、薬を飲んで教壇に立ち続けた。
親身になってくれる同僚もいたが、以前の前向きな姿を知る周囲からは「あれだけ、できたんだから頑張れよ。気力で何とかなるよ」との声も聞こえてきた。学校を休む決断をし、自宅療養に入ったのは最初の内科受診から約1カ月後。この間、体重は5、6キロ落ちていた。
県教委によると、平成16年度に県内公立学校で精神疾患により休職した教職員は38人、30日以上の特別休暇取得者は120人。休職者はこの10年間で約4倍に増えている。
教員の精神疾患について、県立こころの医療センターの村上直人副院長は「教員はストレスの最大要因である対人関係を仕事の基本にしている。特に最近は要求が増え、適応しきれないと精神面に支障を来すこともある。うつ病になりやすい、きちょうめんで頑張り屋タイプが多いのでは」と分析する。
男性教諭は、学校週5日制や総合学習、絶対評価の導入で、平日に会合を詰め込む状況になり、多忙化が顕著になったと指摘。「先生はいろんな目で見つめられ、説明責任が求められるようになり、心理的プレッシャーが高まっている」と実感を込める。
一進一退の状況が続く療養生活。精神疾患で90日以上休んだ場合は、所属校で職場復帰訓練を受け、県教職員健康審査会で「復帰可」の判定を受ける必要がある。男性教諭は「頑張り過ぎは成就感に引っ張られた一種のまひ状態。その時こなせても、反動が出る。今は心のすき間を意識的につくることが大切に思える。現場に戻ったら、以前より生徒の生き方や人格を大事にした指導ができそう」と、ジョギングや水泳で体力づくりにも励みながら復帰を目指す。(教育取材班)