教育企画「やっぱり先生」は3月から6月まで4部に分け県内の小中学校教員の実態や日常の仕事、悩み、意欲、資質などをとらえ、課題を考えてきた。読者から寄せられた意見や質問、反響を3回にわたり紹介し、教育取材班が関係者の意見を聴き答える。
細江町立気賀小に記者が入り、教育現場を密着取材したシリーズでは、登場した先生の多忙感に同調する意見があった。
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多忙 「31歳の息子も初めて小学6年生を担任し、陸上部の顧問も務める緊張の1年が始まった。過密ダイヤで給食時に牛乳しか飲めない日も。やり残した仕事のため、土日曜も学校に行く。傍らで見ていて心身の健康管理は一体どうすべきか、考えさせられます」(吉田町、萬年巌、66歳、無職) |
【記者の目】気賀小で見た先生たちは実際、給食をゆっくり食べる時間はなかった。早く食べて残った時間で採点や連絡帳へ記入をしていた。先生は2つの仕事を持っている。子どもがいる時間は先生、下校後は社会人。給食や人権指導など分掌と呼ばれるさまざまな役割も多い。
その多忙が子どもと接する時間を奪っていることが問題だ。先生たちのやりがいを聞くと「少しでも子どもが伸びていくこと」という。子どもと心を1つにして成長を支えるのを喜びにしている。だから、子どもと接する時間を割いて毎日、追い立てられるように仕事をすると精神的に追い込まれる。
ストレスを解消するためには校内の協力体制を築くことが重要だ。浜松市内の小中学校校長会長を務めた鈴木曾一さん(72)は「以前は宿直があって情報交換をしていた。がんの治療でも医師らがチームワークを組んで診療するように、学年を中心にチームワークで問題に取り組む必要がある」と指摘する。当事者の先生1人が問題を抱えこむのでなく、校長は校内の協力体制を確立すべきで、教師は協力し合う意識を持たねばならない。
先生のプロ意識に疑問を投げ掛ける声もあった。
プロ意識 「最近、学校で指導という言葉が消えている。指導でなく支援だという教委や先生が多い。福祉の考え方なら支援で良いが、教育は教え導くこと、指導が当然だと思う。教師としてのプロ根性に欠けるのも分かるような気がする」(富士宮市、佐野英雄、65歳、無職)
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【記者の目】教育には基礎・基本を教え込むことと、子どもの個性・特性を伸ばすという両面がある。子どもの自主性を重要視し、教師が子どもの学ぶ意欲・姿勢に火をつけるという意味から「支援」という言葉が使われている。
不登校の子どもが増え、学校が荒れた経験をもとに詰め込みから、ゆとりや生きる力に教育路線が切り替わった。しかし、教育の両面性は変わっていない。県西部の元中学校長は「生徒指導は褒める優しさと、しかる厳しさの両方が大切なように教育の両面性はともに重要で、両面を指導できるのが教師の力量だ」という。
教師の役割分担を提案する人もいた。
役割分担 「30人生徒をまとめなければいけない先生は30通りの考えを持った母親たちもまとめなければいけない。学級は持たずに授業を責任を持って教える先生と、授業はしないけど学級経営をしっかりして生徒一人一人を見つめる先生と別にしたらいいと思うのですが…」(匿名)
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【記者の目】複数の教師が1クラスを担当する学級運営方法も考えられるが、複数だと責任があいまいになる恐れがある。教師は授業を通して子どもの成長や変化を感じ取るので複数の場合、お互い綿密な話し合いが不可欠となる。小学校の教科担任制やチームティーチングにも同様なことがいえる。
少子化の時代に財政上、先生を増やせないという問題もある。会議や報告が多いという先生の多忙な現状を分析し、改善するのが先決だ。担任先生も人間だからクラス全体に合う、合わない、見落としている点もあるだろう。他の先生の助言や協力は欠かせない。(教育取材班)