静岡市内の公立中学で3月中旬、別室登校状態の3年の女子生徒に対し、元担任の40代男性教諭が卒業記念の寄せ書きで、この生徒を「厄介者」扱いしたとも受け取れる英語のことわざを記していたことが31日、明らかになった。学校関係者らの話を総合すると、「黒い羊」という言葉が使われ、15歳の少女の心は深く傷ついたという。学校側は生徒に謝罪したが、生徒側は「重大な人権侵害」として教諭の処分などを求めている。
男性教諭は生徒が1年時の学級担任。生徒は入学後間もない4月中旬から相談室への別室登校状態となり、卒業まで続いた。生徒は「先生(男性教諭)にまともに相手にしてもらえず、精神的に混乱したことがきっかけ」と打ち明ける。卒業を控え、「先生を嫌ったままで終わりたくない」と教諭に思い切って寄せ書きを頼んだという。
教諭が女子生徒の卒業アルバムの自由スペースに記したのは「There is a black sheep in every flock」(黒い羊はどこの群れにもいる=「厄介者はどこにでもいるものだ」)のことわざ。「黒い羊」は「厄介者」「悪者」といった意味を持つ。
教諭は「世の中にはいろいろな人がいるというようなことを、一般論として伝えようと思いつくままに書いた。今思えば不用意だった。結果として傷つけてしまったことを謝りたい。別室登校と自分の言動の関連は思い当たらない」と説明した。
英文学が専門の県内の大学教授は「このことわざは、グループ中の誰かを想定して使うニュアンスが強い。生徒の状況を考えれば『黒い羊』を自分のことととらえるのは当然で、著しく思慮に欠ける」と指摘する。
生徒はその場では意味が分からず、驚いた保護者が学校を訪れて説明を求めた。母親は「『先生に書いてもらった』と喜んで帰ってきた娘から『やったね』とアルバムを受け取り、寄せ書きを見た途端、言葉を失った」と振り返る。生徒も「母親から意味を聞いて涙が止まらなかった。裏切られた気持ち」と憤る。
校長は「明らかに不適切で、卒業アルバムに書くような言葉ではない」と認め、「教職員の生徒の気持ちへの配慮を徹底する」と語った。教諭は3月まで生徒指導主事で、校長は新年度も継続させるという。