「望みがつながりました」。激闘の90分間、輝き続けた日本の守護神・川口能活(磐田)の開口1番の言葉だった。目指していた「勝利」の2文字は手にできなかったが、GKにとって無失点は最高の仕事。自身の役割を成し遂げた充実感をにじませた。
がけっぷちの状況で迎えた一戦だった。予想通り猛暑の中での激しい戦いは、日本がペースを握りかけていた前半22分、PKという最大のピンチが訪れた。「絶対止めてやる」。力が入る場面だが、冷静だった。「最初は右に飛ぼうと思ったが、待てよと思った。何となく空気の流れが読めた。自然体というか無心で入れた。チームに流れを引き寄せられたと思った」
何度も神懸かり的なスーパーセーブで奇跡を起こしてきた「ヨシカツ」。ここまで日本のトップGKに座り続けてきた神髄を見せつけたシーンだった。高原も「止めてくれと願うしかなかった。あれでチームとして集中できた」と絶賛、敵将は「相手GKの素晴らしいセーブもあった」と言うしかなかった。
三都主(浦和)に注意喚起のため駆け寄り、遅延行為のイエローカードも受けた。暑さに集中力が切れかけた場面を見逃さなかったためだ。「僕らは闘っている。選ばれなかった選手、直前にけがをした選手もいる。イエローも仕方がない。言わないといけなかった」。チームに何が必要か。修羅場をくぐり抜けてきた経験も生きた。
(ニュルンベルク=望月章弘)