 |
もう敗退が決まっているチームや、大勝しないと先へ進むのが難しいチーム、引き分けでもOKのチーム、また、決勝トーナメント進出を既に手にしているチームなどが、それぞれの、やや複雑なモチベーションを持って戦うのが、グループリーグの第3戦だ。グループリーグ突破を確定させていたイングランドは、スウェーデンとの第3戦で、その先を見据えて戦う必要があった。
考えるべきことの一つ目は、決勝トーナメントで、どことまず当たるのかということ。スウェーデンに敗れた場合、イングランドはB組2位となり、ドイツと対戦することになってしまう。今のドイツに、確実にイングランドを上回るような、ずば抜けた力があるとは思わないが、大会に入って勢いが出て来たし、開催国との「完全アウェイ」戦を、イングランドとしては、やはり望まない。引き分け以上なら1位通過で、トーナメント最初の相手は、エクアドルとなる。
先を見て考えるべきことのもう一つは、出場停止の回避だ。第2戦までに警告を受けた選手は、ジェラード、ランパードのMF2人と、FWクラウチ。決勝トーナメント1回戦で、レギュラーのセントラルMFが2人とも出場停止という事態は、絶対に避けなければならない。エリクソン監督は、その対策として、ジェラードをベンチに置き、中盤中央はランパードとやや守備的なハーグリーブスのコンビとした。ランパードがイエローカードに近づかないよう、ソフトなプレーを心掛けるだろうということと、シュート力のあるジェラードがピッチにいない、という2つの理由で、このイングランドの中盤の構成は、スウェーデンに優位に働くのでは・・・と考えたが、その予想は、両方の理由でともに外れた。まず、スウェーデンの中盤の選手が、中央から仕掛けることは殆どなく、ランパードは、流れの中では、ボディコンタクトを伴うディフェンスをする必要さえ、あまりなかった。そして、途中出場したジェラードが、効率よく攻撃に絡んで、勝ち越しゴールを決めたのだ。
でも、イングランドは、スウェーデンに対して38年、12試合ぶりの勝利を挙げることは出来なかった。ロングスローを、センターバックのテリーがかぶり、ペナルティエリアの中で高く弾んだボールは、対応しようとしたもう一人のセンターバック、キャンベルの頭も越えた。そこをスウェーデンのFWラーションが詰めただけの同点ゴール。スウェーデンの対イングランド無敗記録が続くように、神様が、センターバック2人から、試合終了間際だけ、目測の能力を奪ったみたいだった。これが神様のせいでなければ、今後のイングランドにとって、オーウェンの負傷と同じくらい深刻な、心配の種となる。(野路毅彦)