玉田のシュートは見事でしたが、それ以上に、やはりブラジルの強さを感じた試合でした。試合終了の瞬間、思わずため息が出てしまいました。歴代日本代表の最強メンバーがそろっていたと言われる今大会。しかし、結局は黄金世代の集大成を見せることなく、日本は1次リーグで姿を消すことに。正直、「日本人は この先、今のような日本の環境でサッカーをしていても、永遠にブラジルに勝てないんじゃないか」と思えるほどの圧倒的な差を感じてしまいました。ブラジルは、技術だけでなく、メンタル面、チームとしての結び付き、あらゆる面で日本を上回っていたと思います。
圧倒的にボール支配をしたブラジル。通常4バックでは 両サイドのどちらかが上がれば、もう一方はとどまりますが、ブラジルはボールを奪えば取られない、という自信があるから、ジウベルトとシシーニョの二人が同時に上がってくる。これは脅威でした。個々の力が勝っている上に、人数をそろえられては勝ち目がない。実際、ジウベルト、シシーニョともに得点に絡んでいます。後半14分、ロナウジーニョからのスペースへのパスに、ジウベルトは左サイドを駆け上がり、流れるようにボールが渡る、狙いすましたシュート。技術の高さに裏打ちされた、仲間への信頼を、そこには感じました。
一方の日本は ここぞという速攻で、前線でのパスミスも多かった。前半29分、日本のカウンター攻撃で、玉田から中村へのパスが後ろに流れてしまったのは象徴的でしたが、細かいミスの連続は、選手の気持ちをネガティブな方向へ持っていってしまいます。その心の揺れが次のプレーでの選択ミスにつながり、結局、今大会、日本はもどかしくも、自分たちの力を最大限発揮することができずに終わってしまったのではないか、と思います。
中田英選手が試合後に言っていました。力を最大限発揮するとか関係なく、「結果こそが今の力」。まさにその通りだと思います。試合の中で選手が100パーセントの力を発揮するためにはメンタル面が大事、しかし気持ちの面でいい状態に持っていくためには、やはりしっかりした技術がないと、なかなか仲間の信頼も生まれない。残念ながら日本と世界にはまだまだ技術面での大きな差がありますし、それは急激に世界に追い付けるわけでもないと思います。これから4年後、もちろん期待はありますが、まだ日本のワールドカップでの歴史は浅いですし、これから徐々に詰めていくものだと思います。「日本はワールドカップに出られてブラジルと対戦できるんだ。でもまだまだ差はあるんだ」。今サッカーをしている子供たちが、明日からの練習で少しでも気持ちに変化があったなら、今回の日本にとってのワールドカップはプラスに働くのではないでしょうか。川口選手の活躍で、ゴールキーパー志望者が増えそうな、そんな予感もしています。(牧野克彦)