平成17年11月に浜松市中区龍禅寺町のレストランで経営者の男性=当時(57)=が殺害された強盗殺人事件でブラジルの裁判所は18日、日系ブラジル人の被告(36)に禁固34年5月の判決を言い渡した。日本政府からブラジルへの代理処罰要請を経て、初公判から9カ月。「長かった」「やっと犯人が裁かれた」―。男性の妻(53)を含め、国外逃亡犯による犯罪被害者遺族らは、遠いブラジルの裁判所が出した判決を、万感の思いでかみしめた。
同日、次女(24)と浜松市内で会見した男性の妻は「事件から2年、とても長い道のりだった。量刑は主人の命の重さに比べれば、とても納得できる年数ではない。犯人には『主人を返して』と言いたい」と声を震わせた。
日本とブラジルの間では犯罪人引き渡し条約がないため、現状では帰国した容疑者を司法の場で裁くには、代理処罰(国外犯処罰)が唯一の方法。「『逃げ得』は絶対許せない」。遺族らの地道な署名活動が実を結び、ブラジルへの代理処罰要請に道を開いたが、男性の妻は「代理処罰という手続きで終わらせず、国としてきちんと法整備に取り組んでほしい」とさらなる国の対策推進を求めた。
平成11年に浜松市で起きたひき逃げ事件で娘を失い、同様にブラジルの裁判所での判決を待ち続ける男性(60)=浜松市中区=は「9カ月は遺族にとって長すぎるが、代理処罰で重い刑を適用して犯人を裁いてくれたことは、後に続く私たちにとってかすかな光になる」と判決にひとまず安どした。ブラジルに帰国した容疑者に家族3人を殺害された男性(47)=焼津市=も「日本で罪を犯した犯人が国外に逃げてもしっかり裁かれる良い前例になった」と評価した。
NPO法人「国外逃亡犯罪被害者をサポートする会」理事長で、平成17年にひき逃げ事件で長女=当時(2つ)=を亡くした山岡理恵さん(43)=湖西市=は「ブラジル当局は出来る限りのことをしてくれたと思う」と受け止めつつ、引き続き日本・ブラジル間の犯罪人引き渡し条約締結を求めていく必要性を訴えた。
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