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未来へ離陸 6.4 富士山静岡空港

(4)安全、確実な運航最優先 FDAの挑戦

2009/06/01
 深紅の機体がひときわ目立つFDA(フジドリームエアラインズ)の小型ジェット機が、滑走路から大空に舞い上がる。
 行き先は小松、熊本、鹿児島の各空港だが、試運航の出発点はまだ小牧空港(愛知県営名古屋空港)。「早く静岡から飛び立ちたい」。実動部隊のパイロット、客室乗務員、整備士の願いは間もなくかなう。静岡空港開港とともに本拠地に移り、7月23日の運航開始に向け、万全を期す。
 5月下旬の小牧空港。「整備士が乗り込む会社はほかにないのでは」。整備士の高橋勝義さん(55)は2時間かけた機内の整備・点検結果を機長と客室乗務員に報告すると、そのまま客席に座り、熊本に向かった。
 「新しい航空会社の立ち上げにかかわるなんてめったにないこと」と33年間勤めた日本航空を定年前に辞め、昨年7月、FDAに移った。整備士の資格は機種ごとに異なるため、7機種目となる整備士のライセンスを取得した。「電車やバスと決定的に違うのは何か異変があっても途中で止まれないこと」と人命を預かる整備士の重責を自らに言い聞かせる。
 同じ機内には客室乗務員の教官と訓練生が十数人。地上での講習や実習を経て4月から飛行中の訓練を続けている。「お飲み物はいかがでしょう」。乗客の代わりに座席にかけられた老若男女の似顔絵を相手に接客の練習に励む。客室乗務員には緊急時の的確で冷静な対応も求められる。訓練生の西川彩奈さん(20)=菊川市=は「お客さまがパニックになった時、自分の心理状態をコントロールできるようにしなければならない」と表情を引き締める。
 1日から航空券が売り出される。世界同時不況に新型インフルエンザ。逆風の中のスタートだ。搭乗率65%の目標に届かなければ、安定経営も将来の増便計画も厳しい状況になる。開港を控えて鈴木与平社長は「飛行機には稼いでもらわなければ困る」と繁忙期の夏休みに運航開始を決めた理由を語った上で、「それでも安全で確実な運航が最優先。準備にぬかりがあってはならない」と強調する。
 パイロットのリーダーは鈴木社長の母校、慶応大グライダー部の後輩に当たる元日本航空の蓬莱正樹さん(61)。ジャンボ機を中心に飛行時間1万6000時間を誇る。小牧―熊本を往復した後、「操縦しやすい飛行機。故障も少ない」と太鼓判を押す大ベテラン。「静岡出身のパイロットを育てていきたい」。これが安全運航とともに課せられた任務と心得ている。

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安全運航が最優先課題。念入りに機体をチェックするFDAの整備士=小牧空港



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