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賀茂合併とん挫 繰り返された破たん

(下)住民サービスに不安 小さな町の限界

2009/05/31
 松崎町内で2月初旬に開かれた賀茂地区1市3町(下田市・河津・南伊豆・松崎町)の合併住民説明会。参加者から町単独の行政運営について展望を問われた田口聡総務課長は、募る不安を隠さなかった。「(単独でも)財政は破たんさせてはいけない。ただ、提供できる住民サービスには自信が持てません」。人口約8300人の小規模自治体が抱える課題を吐露した。
 県内では2003年3月末にあった74市町村が、合併新法の期限を迎える10年3月末までに35市町に減少する見込みだ。県が合併推進構想の対象とした人口1万5000人以下の自治体は、旧法で合併した川根本町を除き、賀茂郡内5町のみとなる。田口課長は「福祉業務では専門知識を持つ職員が数多く必要だ。小規模の町の体制で、今のサービスを将来も保てるのだろうか」と漏らす。
 1市3町の中で最も高齢化が進む南伊豆町の鈴木博志総務課長も、行政機能としての町の未来を憂慮する。町内に34カ所ある集落のうち、65歳以上の人口が半数を超えているのは現在4カ所。それが10年間で29カ所に急増する。「財政が苦しくても行革でやりくりするしかない。ただ、少ない職員で増加する住民ニーズをカバーすることは今後さらに厳しくなる」と話す。
 一方、1市3町合併に反対の姿勢を示す松崎町議会や南伊豆町議会の町議たちは、全国町村会などの調査資料を基に論陣を張った。「新市の面積は県内で4番目。周辺地域は衰退する」「既に合併した自治体から弊害や後悔の声が多い」―。合併で広域化する新市の懸念材料を挙げ、小規模自治体の良さを強調した。
 県市町村合併推進審議会委員の坂本光司法政大大学院教授は「地方分権が進み、財政力や執行力などが弱い自治体では基本的な機能が果たせなくなる」と小規模自治体の限界を指摘。「しわ寄せは住民に来る。子や孫、地域のためにも町議会には勇気ある決断をしてほしかった」と振り返る。
 約10年間に及ぶ合併協議を繰り返してきた賀茂地区。今後は協議過程で得た情報や連帯感を基に業務連携などあらゆる手段を模索し、厳しさを増す状況下でも住民からの負託に応えていく強い覚悟と責任が求められる。

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松崎町の合併住民説明会。町は合併効果や単独行政の厳しさなどを説明した=2月、松崎町内



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