昭和四十九年(一九七四年)の伊豆半島沖地震=マグニチュード(M)6・9=は、多くの構造物にも特徴的で多様な被害を及ぼした。一般の建物のほか、道路や港湾施設、電柱、水道管が、地震の揺れや地滑り、断層運動など、さまざまな原因によって壊された。
急な傾斜地が多い被災地・南伊豆町の特徴をよく現していたのは、道路被害だった。
『地形が険しく海岸線は曲折に富んでいるため、道路は切り土と盛り土の連続であるが、沢を通過する部分の盛り土は例外なく崩れだし、滑り破壊を起こしているものも多くあった』と文部省(現文部科学省)科学研究費で行われた地震災害調査(研究代表者・土隆一静大教授=当時=)の報告書にある。
本紙五月十二日付朝刊にも『海岸線の動脈下田―石室―松崎線は石廊トンネルから中木までの被害が特にひどく、いぜん通行止め』『子浦から同県道に接続する「マーガレット・ライン」の被害も多大』と記され、盛り土部分に崩壊が集中し、特に地震に弱かったことを伝えている。

電柱の折損部分=南伊豆町の中木
道路被害と同様に不安定な地形によって壊れたのが水道管などだった。同報告書には『上水道は南伊豆町下賀茂地区などに敷設されているが、百カ所以上での漏水が報告されている』と記され、簡易水道も至る所で壊れた。原因は落石もあったが、多くは地震動による配管のずれなどだった。
海岸線に点在する漁港も被害を受けた。岸壁が傾き、沈下した。コンクリートの岸壁表面を支える内側の土砂が崩れたり沈んだためだった。
大規模地滑りが起こった中木地区では、電柱が折れるといった被害も見られた。電柱が折れる程の“揺れ”となると相当で、同報告書では『落石のいずれかが電柱に激突した際の衝撃によって折損した可能性が高い』と結論づけている。ただ、地震によって電柱が折れるほどの破壊力が生まれたのは事実で、底知れぬ地震の恐ろしさを伝えている。
(2004.1.19掲載)