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教訓 中越/スマトラ沖

(2)被災者への対応 対策本部現場に権限

2005/01/31
 新潟県中越地震で小千谷市は発災直後に市庁舎の被害状況を調査したが、薄暮のため状況が分からず、職員から倒壊する危険があるとの警告があって、消防本部の前庭にテントを張り、仮設の災害対策本部を設置した。暗いため消防本部が所有する発電機を使って照明、そして無線通信も確保できた。しかし、仮本部は不便であり余震の状況を見て、その夜9時すぎ市庁舎の1階に移動し本格的な活動が始まった。
 災害対策本部は市長が陣頭指揮を執り、本来部長決裁を必要とする事案があまりにも多いので、現場の判断で進めてよいことにした。現場に権限を下ろしたことから仕事の流れが非常によくなったという。発生直後、携帯電話は使えたが、しばらくして中継所の非常電源が落ち、連絡に苦慮したという。
 小千谷市は市民体育館をはじめ学校の体育館、公民館などを避難所とした。市民体育館は広く、被災者は床に段ボールを敷き、その上に毛布を敷いて生活していた。日中から段ボール箱で囲った中で寝ている人やたたんだ毛布の横に無表情で座っている人、その間を子供たちが駆け私生活の場は無い。市民体育館のエントランスホールには赤十字が設けた診療所、市役所の生活相談所、山積みになった衣類、各地から寄せられた本などの支援物資が雑然と置かれていた。取材お断りの張り紙は、発災当時押しかけたマスコミに悩まされたことが推測される。建物の外壁には自動洗濯機が10台ほど並び、避難生活の苦労がうかがえる。
 小千谷市では発生の翌日から被災者に食事を届けることができたというが、今回大型チェーン店もいち早く食糧を被災者に届けたという。チェーン店から物資の提供を受けている間にその種類が増え、石油ストーブなどは無料かレンタルか、または買い取りなのか不明確なまま使われたという。また、大型のエアーテントをチェーン店の駐車場に展張し、周辺の住民に避難所を提供したことも注目される。今後、既に使ってしまった品々の費用が請求される心配を本部員が話してくれた。支援を受け入れる体制が整わないまま、各地から送られてくる物資を保管する場所や支援者のための宿泊場所、駐車場などの手配に現場では混乱が生じたことは否めない。
 自治体と住民が災害への備えに対する認識が甘かったからである。また、被災地の必要物資とその量についても調整が図られなかったことから、避難所では余った物資が大量に山積みにされ辞退も相次いだ。受け取る側が被災地に物資が届くまでの時間を考慮せずに情報を発信し、送る側も被災地で何を必要としているのか確かめもせずに届けたためである。島原、奥尻、阪神・淡路と同じ失敗を繰り返してきたが、緊急時の飲料水と食糧等を業者から確保することとして、物資の支援を思い切って止め、お金だけに制限してみてはどうであろうか。現地の大型チェーン店が避難所機能と物資を早々に提供したこともあり、被災者への新たな支援システムを考える時期に来ているのではないだろうか。
 (井野盛夫・富士常葉大学環境防災学部長)

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大型チェーン店の駐車場に設置されたエアーテントの避難所

=小千谷市内(長岡造形大・沢田雅浩講師提供)



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