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教訓 中越/スマトラ沖

(3)建物の被害認定 迅速・公平な調査模索

2005/02/07
 災害対策基本法には、地震災害が発生すると災害対応の一義的な責任を市町村が負うと規定されている。建物の被害認定も災害対応業務の一つで、この調査に基づいて罹(り)災証明書が発行される。
 新潟県中越地震の被害地の一つ小千谷市(人口約4万人)では、市内のすべての建物約2万棟の被害認定調査をすることになった。調査を担当したのは固定資産などの家屋調査を担当する税務課だった。被害認定調査には、より迅速かつ公平にという点が求められるが、壊れた建物の調査は未経験であることや、10数人の税務課職員で業務全体を仕切らなければならないなど、多くの困難が予想された。そこで地震発生の翌日から小千谷市に入っていた富士常葉大学、京都大学防災研究所、防災科学技術研究所地震防災フロンティア研究センターの合同研究チームが、被災度調査・罹災証明発行業務の支援を行うことになった。
 阪神・淡路大震災の経験から、被害認定調査には多くの専門家でない職員にも調査の応援を要請するため、調査の経験の差や調査地の被災状況の差などによって、判定結果にばらつきが生じることが分かっていた。そこで合同研究チームは、このばらつきをなるべく少なくし、調査の精度を向上させ、より迅速かつ公平な調査を可能にするシステムを開発してきた。小千谷市の調査では、このシステムが全面的に採用され、建物の被災度調査が実施された。調査は10月28日に開始され、約3週間で2万棟の調査が完了した。調査の進行に合わせてデータベースの作成、罹災証明発行システムの設計・開発が行われ、地震発生1カ月後の11月20日には、全世帯に対する罹災証明の発行が開始された。
 もちろんすべてが順調に進んだわけではない。問題の一つに被害認定基準の問題があった。被害認定の指針は、平成13年に内閣府によって公表されているが、実際の運用は自治体の裁量にゆだねられている。そこでこの指針に準拠しながらも各自治体独自の方針で被災度調査・判定を行うため、構造的には同程度の被害であっても、自治体によって判定が異なるという事例が少なからず発生した。特にこの判定結果を被災者に対するさまざまな生活再建支援プログラムの適用基準として利用しているため、被災者の間で不公平感を生んでいる。これは今回の被害で明らかになった課題の一つで、今後早急に検討される必要がある。
 (田中聡・富士常葉大環境防災学部助教授)

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地震発生1カ月後に始まった罹災証明の発行=新潟県小千谷市



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