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教訓 中越/スマトラ沖

(4)必要な人のつながり

2005/02/15
 「新潟県中越地震による全壊世帯に最高400万円、半壊世帯に50万円の支援金」。これは昨年11月6日付の新聞で報じられた記事の見出しである。自然災害により被害を受けた被災者に対する公的な支援策にはさまざまなものがある。例えば税金の減免(軽減)、電気・電話・ガス・水道・NHK受信料など各種公共料金の減免、教育費の支援、仮設住宅の貸与や災害復興公営住宅の確保などがその一例だ。
 これまで国は、自然災害に対する被災者に対してこれらの公的な支援は行うが、個人補償(個人に対する金銭的な支援)は行わないという大原則を貫いてきた。しかし、阪神・淡路大震災が発生した後の平成10年5月に成立した「被災者生活再建支援法」により、住宅に大きな被害を受けた被災者に対して生活再建のための資金援助を行うことになった。冒頭に書いた全壊世帯に最高400万円の支援金が支払われるというのは、この法律に基づいている。
 先週の本欄で、新潟県中越地震の被災地における住宅の被害調査の判定結果が、被災者の間で大きな不公平感を生んでいるという問題が指摘された。住宅の被害程度により被災者生活再建支援金の額に大きな差が生じること、また全国から寄せられた義援金の配分額も、全壊世帯では200万円、半壊世帯では25万円、一部損壊では5万円と、被害程度により大きく異なっている。こうなってくると、あたかも全壊の認定を受けた人は得をして、半壊世帯や一部損壊世帯では損をするような錯覚に陥り、多くの被災者が住宅の被害認定結果に不服を申し出ることになった。
 そもそも、被災者に対する生活再建支援の目的は、自立再建のために自助努力をする人の試みを、公的に後押ししてあげることであったはずだ。ところが今では、たくさんの支援金がもらえる全壊世帯が1番得したようなとらえ方がされるようになってしまった。大切なわが家が地震で全壊してしまえば、経済的損失のみならず、精神的な痛手は計り知れないものがある。たかだか数100万円のお金をもらったからといって、それで補いきれる痛みではないはず。むしろ被害が少なかった、わが家は幸いなことに無事だったことこそ、本来喜ぶべきことなのではないだろうか。
 東海地震が発生すれば、被害を受ける建物の数は最悪の場合、全壊被害だけで約46万棟と推計されている。住まいが被害を受けたすべての世帯に対し、これだけの支援金を支払う余裕が行政にあるのかどうかも分からない。被災者が新たな人生観や価値観を見いだし、暮らしの再出発をするために必要なのは「金銭ではなく、人と人とのつながりであること」。これは阪神・淡路大震災から10年たった今、あの震災による被災者が出した結論です。
 (重川希志依・富士常葉大環境防災学部教授)

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▼厳しい豪雪に耐える仮設住宅=新潟県小千谷市



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