静岡新聞のニュースサイトへようこそ。本ページはスタイルシートとJavascriptを使用しています。
静岡新聞 > 特集一覧東海地震は今連載企画一覧 > 教訓 中越/スマトラ沖

ここから本文

教訓 中越/スマトラ沖

(5)資機材不足の診療所

2005/02/21
 スマトラ沖地震発生から4日後の12月30日から1月5日まで、津波の被害を把握するためスリランカ東海岸のトリンコマリ市を訪ねた。スリランカは震源地からおよそ1600キロ離れている。地震発生から約2時間後に津波はスリランカまで到達し、東海岸からさらに西側のインド側の海岸まで回り込んで、スリランカのすべての海岸に津波が襲来した。1月28日の国連人道問題調整事務所の報告によるとスリランカで死者3万959人、行方不明者5644人の犠牲者が出た。
 トリンコマリ市のキニア区では海岸部にあった唯一の総合病院が津波により全壊し、入院患者40人、看護師4人を含むスタッフ25人が犠牲となった。現在は300メートルほど内陸に入ったコミュニティーセンター内に仮設の診療所を開設している。患者の症状は初めは外傷が主であったが、数日後から肺炎、風邪などがあり、さらに通常の疾病も診る必要があるとのことであった。しかし、医療資機材は全く不足していて十分なことは出来ていない状況だった。
 トリンコマリ市では国内の医師のみならずスペイン、インドからの医療チームも来ている。外国人医師は言葉などの問題もあるので、主に予防対策に当たっている。災害後の心配の1つは疫病の発生である。スリランカの大都市を除き、上水は井戸であり、トイレは昔の日本のように自家浄化槽かそのまま地中に貯める方式だ。津波によって井戸は海水とともに泥などが入り込み使用できない。当分の間、上水は内陸から運んでくるほかはない。このような状況のため衛生状態は悪く、被災地内部ではかなり危険な状況と言わざるを得なかったが、幸いに伝染病の下痢などは発生しないで済んだようである。
 トリンコマリ市に入る途中に救援物資を運ぶトラックの列に何度も会った。被災者や避難者への物資の供給を市役所に聞くと、米1人当たり400グラム、砂糖30グラムといった算定に基づく食糧は1万8000人分が15日分あるそうだ。しかし、被災者の口々からは物はあるが配布となると順調にいっていない―との不満が出ていた。市役所の話では、高等教育を受けた人やカーストの高位の人々は自尊心からか避難所に救援物資の受け取りに来ないという話もあった。
 いずれの国の災害でも災害後の対応は混乱を極める。あまり大災害の経験のない国では特にそうだ。わが国では阪神・淡路大震災や新潟中越地震の経験から、よりうまく対応できるとは思うが、気を引き締めて対応したいものだ。
 (小川雄二郎・富士常葉大環境防災学部教授)

メール メールで記事を紹介 印刷 印刷する

仮設診療所で傷の手当てを受ける患者



[特集]

関連ニュース・バックナンバー




静岡新聞購読のご案内

デジ記者Webレポート

SBS動画ニュース

自然薯まつり

静岡新聞社の本

線路に沿って歩いたエッセイと細密画。今もそこにある、なつかしい風景と駅前の味。駅舎ファン必・・・[記事全文]
日本が見える47NEWS
47CLUB

携帯サイト案内

手のひらに最新ニュースを。会員にはメールも配信。お得なグルメ情報も掲載!携帯サイト「静岡新聞SBS」
携帯サイトについて
携帯サイト静岡新聞・SBS
ページのトップへ