震度6弱を観測し、死者1人を出した3月の福岡県西方沖地震。福岡市内など中心市街地では、中高層ビルの窓ガラスが割れ落ち、離島の玄界島では地盤の崩落で多くの民家が倒壊。都市、急傾斜地それぞれが抱える防災の課題をあらためて浮き彫りにした。東海地震が予想される静岡県では、どの程度安全対策が進んでいるのだろうか。現状を探った。
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福岡市中央区の繁華街に建つ「福岡ビル」。440枚の窓ガラスが砕け散り、歩行者4人がけがをした。福岡ビルは、国が昭和54年4月に安全基準を導入する以前の建物で、行政指導が行き届いていなかったことが問題点として浮かび上がった。このほかにも多くの住宅や商店のガラスが割れた。けが人は多数いるとされるが、ガラスによる負傷者の総数は把握できていない。
そこで、静岡県内の安全指導や対策について、行政や業界関係者などに尋ねてみた。
県建築住宅総室によると、安全基準導入前に建てられ、緊急避難路や避難地沿いにある3階建て以上の建物については、平成7、8年に調査を行った。危険性がある建物に対しては、飛散防止フィルムの張り付けや安全なガラスとの交換などの改修策を指導したという。福岡の地震直後にも緊急調査を行った。落下の恐れがある建物は県内で61棟に上った。
もちろん、危険性のある窓ガラスはこれだけではない。店舗や一般住宅にも旧工法のままの建物は数多くある。県建築住宅総室の担当者は「県内にどのくらいあるかを把握するのは不可能に近い」と話す。安全対策を講じるかどうかは建物の所有者の意識に委ねられている。
対策費についてガラス販売の「村上開明堂」(静岡市)は、「飛散防止フィルムを自分で張った場合の費用は1平方メートルあたり2000円前後。特殊加工が施された耐震ガラスは1平方メートルあたり約1万4000円程度から」と説明する。フィルムは比較的安価だが、効果は2年から10年。定期的な張り替えが必要だ。窓ガラスの地震対策には、木造住宅耐震化のような自治体の補助制度はない。
「危険性はある程度分かっていても、新築やリフォームでもしない限り対策を取らない人が多いのが実情」(同社・安藤大輔建材事業部長)との声もある。しかし、窓ガラスは地震で飛散した場合に危険なだけではない。避難や復旧の妨げともなることは、福岡の地震だけでなく過去の震災からも明らかだ。安藤部長は「まず、住まいや身近な場所のガラスが安全かどうか見直し、できる範囲での対策を呼び掛け合うことが大切」と強調した。
(この連載は、静岡新聞地震取材班・望月祐子、市川雄一が担当します)