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企業減災 リスクに強い社会へ

(8完)大林厚臣氏(慶応大助教授)インタビュー BCP、定期的点検を

2005/08/04

 県内企業が東海地震に負けない真の“強さ”を備える上で、事業継続計画(BCP)の整備は大きな鍵になると言えそうだ。BCPを普及させ、実効性を高めていくために企業、社会には今、何が求められているのだろうか―。企業防災に詳しい大林厚臣慶応大大学院助教授に聞いた。
 ―欧米ではBCPと並んでBCM(事業継続マネジメント)という考え方が普及しています。計画を指す「プラン」のP、経営管理を指す「マネジメント」のMですね。
 「BCMはまさに『プラン』を『マネジメント』に発展させていくということ。1度きりの計画に終わらせないで、企業の年次計画、予算編成などに合わせてBCPの評価点検、見直しを毎年繰り返す。そうすることで防災の取り組みを経営のサイクルに入れ込んでいくことが重要になる」
 ―静岡新聞社の調査で県内企業は全国の企業と比較してBCPへの関心と、その作成率が高いことが分かりました。PからMへの発展が今後の課題になりそうです。
 「BCPのプランニングをする時にできるだけ組織内の多くの人を巻き込むべき。専門知識がある一部の人だけに任せてしまうと、BCPを実行する人にとっては『また仕事が増えた』ととらえられてしまう。事業の優先順位をどうするか、自分たちの部署で何ができるか―など、現場の意見を吸い上げるといい。自分たちが参加して作った計画だという共通認識が社内にあれば、浸透も速いし、改訂の際にも協力を得やすい」
 ―BCPには特定の災害を前提としないという原則がありますが、実際はすべてを網羅する計画を立てるのは難しいのではないでしょうか。
 「仮にいくつかのシナリオを準備していても実際の危機には想像もしなかったことが次々に起こるだろう。10の事態が起こり、事前に予想していたのは3か4ぐらいかもしれない。それでもよりよい対処ができるし、ダメージは相当違ってくるはず。リスク分析やプランニング、訓練を事前に重ねていれば、いざというときの心と体の構えは全く違ってくる」
 ―BCPが普及するためには、防災対策にかけたコストが市場で評価され、企業価値の向上につながる仕組み作りが必要だと思いますが。
 「どれだけ災害に強い会社であるのか、何らかの形で数値化することが必要。防災会計というような考え方もあるが、まだスタンダードな形式はない。企業はリスクと対策をセットで公開していくことになるが、しっかり準備をしている企業ほど、たくさんのリスクにも気付く。対策は立てていても、聞く側がマイナスに受け止めることがないとはいえない。良心的な企業が損をしないように評価、定量化の精度を高めていくことが重要になるだろう」

 

おおばやし・あつおみ氏 昭和36年京都府生まれ。京都大法学部卒、シカゴ大院修了。行政学博士。日本郵船、シカゴ大助手を経て慶応大へ。平成10年から現職。政府中央防災会議専門調査会委員、同専門調査会企業評価・業務継続ワーキンググループ座長。44歳。


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経営サイクルに防災を入れ込む重要性を指摘する大林助教授

=横浜市の慶応大大学院



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