昨年12月のスマトラ沖地震は死者が30万人を超えるなど未曾有の津波被害をもたらし、今なお深いつめ跡が残る。東海地震でも数分後に県内沿岸に大津波が押し寄せることが想定されている。津波被害が大きいとされる市町を中心に津波対策を検証する。
戸田から千本浜まで県内最長となる60キロの海岸線を持つ沼津市。東海地震が発生した場合は、数分で最大10・4メートルの津波が押し寄せると予想されている。特に市南部沿岸部の一部は堤防が未整備で、津波の直撃を受ける恐れがある。未整備地区では地震発生後いかに早く避難するかが人的被害を減らす鍵になる。
県の第3次被害想定によると、津波による市内の建物大破1835棟、中破881棟、浸水2952棟で大破は全県の81・9%となる。人的被害(予知なし)は死者163人、負傷者813人、うち238人は重傷だ。津波死者は全県の71・8%、負傷者は86・5%を占める。
市によると、漁港区域を除き堤防など海岸保全施設の整備が必要な海岸線は内浦、西浦地区など24キロ。うち18キロが未整備で「堤防整備による眺望阻害に地元理解が得られず、地形上の制約もある」(市産業振興部)という。このため後背にある高台への避難路整備を進める。また、静浦地区には高台を利用して津波避難地(高さ12メートル、約300人収容)なども整備された。
市消防本部は、沿岸部の51自治会に避難経路と津波避難ビルの見直しを依頼し、本年度中に新たな津波避難マニュアルを作成する方針。同マニュアルは対象地区の約4600世帯に配布して確認してもらう。4月に編入合併した戸田地区でも津波対策への防災意識向上を図る。
このほか、堤防整備区間では陸閘(りっこう=開口部の防潮扉)の自動開閉化への動きも出ている。沿岸部にある我入道連合自治会の鈴木保男会長は「災害は常に想定外のところで起きる。堤防に囲まれていても何が起きるか分からない。揺れたら避難。まずはこれを徹底することが大事」と話している。
