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沈黙の30年

[上]行政広域化の対応探る 小林佐登志(県防災局長)

2006/08/07

 東海地震説の発表から30年。「巨大地震」の切迫性が確実に高まる中で、市町村合併が進むなど社会構造は大きく変化した。「防災の日」の9月1日、東海地震の予知と発生を想定して行われる県総合防災訓練の主会場は浜松市全域。旧12市町村の合併で誕生した巨大都市は、その防災機能を発揮できるのか―。それは他の合併地域の共通課題でもある。新たな対応を迫られる県などの行政、医療、自主防災組織の関係者に課題を聞いた。

 

 県は今年の総合防災訓練の重点をどこに置いていますか。

 「行政の広域化への対応と実践的訓練の2点。合併で74市町村が42市町になった。行政の効率化が進む中で、旧行政単位と同じように地域の防災対策をカバーできるか。広域化が一気に進んだ浜松市をモデルに、広域化に伴って浮上してきた防災上の課題を検証したい」


 実践的訓練とはどのような訓練ですか。

 「地域特性や地理的条件を踏まえた被害を会場ごとに想定する。浜松市全域に設ける14の地域会場では、自主防災組織による避難所の運営訓練を行う。中央会場では各防災関係機関の連携を確認する。訓練の予行や打ち合わせは極力やめて、各機関が現場で出会ってから対策を協議する。平常時から参加者の問題意識を高めることが狙い」


 国内外で大きな地震災害が相次ぐ中、東海地震の発生を見ず、30年が経過しました。

 「幸い30年の猶予があったおかげで、きめ細かな観測網や道路、津波対策の堤防など社会インフラ整備をはじめ、ハード、ソフト両面の整備を着実に進めることができた。阪神・淡路大震災などの教訓から、公共建築物や木造住宅の耐震補強も進んだ。東海地震に対する県民の意識は風化したとも言われるが、県民の防災意識を高める上でもその猶予は無駄ではなかった」


 今後、取り組むべき重要課題は何ですか。

 「少子高齢化の急速な進展で、災害直後の救助や復興に必要な住民の“自助”“共助”の力、“地域力”が弱くなっている。市町が問題意識を持って対策を講じないと地域間の格差が顕著になり、10年で深刻な問題になる。地域力を支える各市町の取り組みを、県として支援する態勢をいち早く構築する必要がある」


 国の地震防災戦略に沿って県が今年、策定した「地震対策アクションプログラム2006」の最大の目標は何ですか。

 「減災に尽きる。旧建築基準で建てられた住宅の耐震化を進め、10年間で耐震化率90%の達成を目指している。木造住宅の耐震補強が進めば確実に死者を減らせるが、やるやらないは所有者の判断。行政の力だけで進められないジレンマがある。特に高齢者だけで暮らす災害時要援護者世帯で耐震補強が遅れる傾向がある。高齢者が取り残されないためにも、県や市町の補助や税金の特例など、今の制度で十分かどうか、研究を進めていく」


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こばやし・さとし氏 昭和50年に県庁入

り。県知事秘書や企画部研究政策室

長などを歴任。平成16年7月から初代

の御前崎市助役として出向した。今年4

月から現職。旧浜北市出身。54歳。



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