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沈黙の30年

[下]広域医療搬送に地域差 岡田真人 聖隷三方原病院院長補佐

2006/08/31

 広域医療搬送のシステム化に取り組んでいます。きっかけは何ですか。
 「死者・行方不明者約6000を数えた阪神・淡路大震災は、東西わずか20―30キロの狭い地域で起きた局地的被災で、患者を近隣県などに運んで治療できた。予想される東海地震では、東西約200キロの県内道路は寸断が予想され、車で重症患者を運ぶのは難しくなる。同時に被災する愛知、神奈川両県などもあてにできない。事前に相当考えて県外に運ばないと、助かる命を助けられないと感じた。平成15年度から3年間の研究で、広域医療搬送の仕組みをほぼ完成させた」

 救護所・救護病院や災害拠点病院の態勢は整っていますか。
 「東海地震発生から最初の24時間以内に広域搬送が必要な想定患者数は500人前後。県内3カ所の各広域搬送拠点から100―200人を1日で運ぶには、収容先病院で医師が広域搬送が必要な患者を的確に見極めることが求められる。全国で統一した『広域航空搬送トリアージ基準』を医師が習熟する訓練はまだ十分とは言えない」

 広域搬送の環境整備面の課題は何ですか。
 「病院や自治体のヘリポート確保。ドクターヘリ運用の成果で、西部は約9割まで整備が進んだ。ただ、中小規模の病院が多い東部は6割程度、ドクターヘリの基地病院がない中部は約7割で、地域差がある。公園などの広場をヘリポートとして使う市町は、災害時にはヘリの離着陸で避難地として使えない場所だと住民に十分知らせるべき。看板などで明示されている場所はまだ少ない」

 聖隷三方原病院の災害医療派遣チーム(DMAT)は総合防災訓練でどのような役割を担っていますか。
 「航空自衛隊浜松基地に設置される仮設救護所『ステージングケアユニット(SCU)』に真っ先に入る。負傷者の治療や搬送のため全国から被災地入りするDMATの医師や看護師を受け入れ、患者搬送などの役割調整などを統括する。全体の流れや情報伝達などを検証したい」

 広域化した浜松市を会場にした今年の訓練で何を目指すべきですか。
 「都市部から山間部まで広範囲に及ぶ訓練では、患者搬送に不可欠な正確な情報伝達と確実な連携が問われる。訓練後の検証で反省点を見つけて、計画を練り直すことが最も重要になる」


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おかだ・まさひと氏 聖隷三方原病院救命
救急センター長兼務。阪神淡路大震災で
患者をヘリコプター搬送するなど救援活動
を経験。厚生労働省の研究班員として広
域医療搬送のシステム化に携わる。日本臨
床救急医学会評議員。鳥取県出身。58歳。



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