被災4日目の28日昼前、石川県輪島市内で最も多い約250人が避難している門前西小を訪ねた。周辺には全壊家屋が目に付く。避難住民の間には午前8時すぎに起きた震度5弱の余震の余韻が残り、避難所の体育館内には沈んだ空気が流れていた。体調不良の高齢者2人が病院に搬送されたばかりだった。
体育館には世帯間の仕切りなどはなく、いくつかの集落の住民が身を寄せ合っていた。「疲れが出ていますから取材は控えめに」。そう女性町職員に諭された。
あまりの空気の重さに尻込みし、館外に出ようとした時、地元の議員の団体が訪れた。「心を合わせて復興に向けて頑張りましょう」。思いがこみ上げ、小刻みに震えた声が響き、館内に拍手の波が広がった。「先生頼むよ」「深見(孤立した集落の1つ)を何とかしたい」と、数人の高齢男性が立ち上がった。早期復興を誓うその目には涙が浮かんでいた。
被災者数人から取り急ぎの課題として「水道の早期再開を」という訴えを聞いた。2500世帯ある輪島市門前地区ではまだ約半数の世帯で水が止まったまま。日ごろ当たり前に使っている水が出ない。そのストレスが大きいことは記者自身も現地に入り、身にしみた。コンビニも通常営業、阪神大震災などの教訓が生かされて自衛隊や近隣県からの給水、簡易トイレの支援が整っても、水への住民のニーズは高い。
同じく断水が続く浦上地区の公民館で寝泊まりしている無職大野ハツエさん(89)は「自由に水を飲めない、トイレも流せない、風呂もだめ」と不便を立て続けに訴え、無職女性(71)は「家が傾いた人もいると思えば私らはまだいいけれど」と前置きした上で、「つらいね」とこぼした。
国、静岡県が長年、呼び掛けている最低3日分の水と食料の備蓄―。県内では水道施設の耐震化はほぼ完了しているとはいえ、やはり不可欠だ。風呂水をためておくことも有効だろう。水対策は自助の基本だと痛感した。
夕方の門前西小近くの運動広場。自衛隊が夜通し作業してこの日開設した風呂「尾張の湯」には続々と人が集まった。橋本富蔵さん(76)は「(地震前からで)1週間ぶりだよ。お湯につかることばかり考えていた」、無職男性(70)は「良かったよ。本当気持ちよかったよ」と繰り返した。紅潮した表情に、つかの間の安らぎと水への感謝がにじんでいた。