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能登復興「光と影」~地震から3カ月、静岡新聞記者ルポ~

(3)心のケア転換期 笑うことが気晴らし 長期の対応必要な例も

2007/06/25
 20日昼すぎ、石川県輪島市舘地区の仮設住宅に「チリンチリン」と鈴の音が響いた。住民の高齢者が1人また1人と敷地中央にある談話室に集まってきた。5分ほどで12人に。「仮設はほんと暑いね」「奥さんの調子はどう」―。茶飲み話に花が咲き、笑い声がプレハブに響く。
 ボランティアの青年僧侶たちが毎週水曜日に開く「行茶会」。避難所生活のころから続いているという。地元の女性ボランティアらも加わり、お茶とお菓子を出して気軽に話しやすい雰囲気を演出する。「たわいもない話でみんなで笑う。気晴らしになるね」と区長の星野六郎さん(76)。気が付くと、一昨日沈んだ表情で住宅再建への悩みを聞かせてくれた女性が満面の笑みで会話に興じていた。うれしかった。
 日ごろ心のケアに当たる保健師は、仮設住宅に入り約2カ月になる被災者の変化を敏感に感じている。同市道下地区の仮設住宅で活動する石川県の健康相談員塩士貞子さん(65)は「初期の『頑張らなきゃ』と突っ走っていた生活から、仮設に入居し少し落ち着いてきたところで、住宅再建などの心配が増し、不安や不眠症状を訴える人が出ている」という。
 「閉じこもらず、人に話をするということが大切。ストレス発散できる時間をもっと設けていきたい」と輪島市の保健師田口佐和子さん(44)。県などと協力し今後、対応を充実させるという。塩士さんも「できる限りの声掛けをし、こころのケアセンター(一部仮設住宅に併設、民間企業が県に寄贈)に出てきて、みんなで話ができるようにしたい」と話した。
 心のケアは応急対応から慢性期対応への転換期にある。急性ストレス障害や1時的な認知症的症状が緩和するケースも見られる一方、面談調査などで心的外傷後ストレス障害(PTSD)をはじめ、個別の長期的なケアが必要なケースが徐々に絞られてきた。市によると、仮設住宅の住民の状況は5月末までにほぼ把握を終え、そのほかの全壊・半壊世帯対象の県の面談調査が急ピッチで進められている。
 「大なり小なり皆が被災し、多様なストレスを抱えている。家の再建など、すぐ解決できない問題も多い。それでも、話をすることで少しでも落ち着いてもらえたら。そんな思いで『傾聴』に心掛ける」と田口さん。被災者全体の真の健やかなる復興には田口さんのようなケアスタッフの力が欠かせない。

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ボランティアとの茶飲み話で心がほぐれ、仮設住宅に笑顔があふれる=輪島市内



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