山間部にある伊豆美さんの実家・奥山さん一家が避難した小学校は、伊東さん一家の避難地とは対照的だった。
グラウンドではテントの設営が進んでいたが、集まった人の多くが体育館へ向かった。この体育館はことしの耐震診断で「要補強」の評価が出され、改修工事待ち。地震の際は壊れる恐れがある。
避難地に派遣された町の職員が「この体育館は危険なので、ここには避難できません。テントに入ってください」と説明した。しかし、「ニュースとかで見ると災害の時はみんな屋内で避難生活しているじゃないか。何で外に寝なきゃいけないんだ」という不満の声が上がり、しばし押し問答となった。
「ニュースに出てくるのは『避難所』です。ここは『避難地』なので、違うんです」と職員は説明したが、違いが分かりにくいのも確か。「避難地」は警戒宣言発令など地震発生前、または発災後でも火災の延焼などで間近に危険が迫った場合に緊急的に避難する場所で、屋外避難が原則だ。一方、「避難所」は災害発生後に被害を受けて自宅に住めなくなった人たちが、一時的に避難生活をする場所。学校など安全性の確保された公共施設のほか、あらかじめ協定した民間施設なども活用して設置する。
取りあえず渋々グラウンドに戻った住民たちだが、リーダー不在で避難地の管理が十分できない状態。そこここで混乱が続いた。