海辺に住む東海さんの親類の伊東さん一家の地域では、警戒宣言発令から間もなく、同報無線が響いた。「○×地区は津波の危険予想地域に指定されています。住民の皆さんはただちに避難をお願いします」
伊東さん一家は大慌て。日ごろ、あまり地震への備えに関心がなかったので、準備もほとんど整っていない。「避難といっても、どこに行けばいいんだっけ」。隣の熱海さんに尋ねると、「この辺りの避難地は高台にある小学校だよ」と教えてくれた。
何を持ち出していけばいいかにも、頭を悩ませた。「現金と通帳、貴重品は津波に流されると困るから…。着替えや毛布も必要だな。それに…」。非常食のたぐいはほとんど用意していなかった。取りあえず、冷蔵庫の中をかき回してめぼしい物を取り出し、戸棚の缶詰やカップラーメンなどをリュックに詰め込んだ。「早く避難してください」。巡回に来た自主防災組織の役員の声に促されて外に出たが、大事なラジオを置き忘れてしまった。
熱海さんはそれに比べて冷静に対応。ふだんから用意していた非常持ち出し袋を背負い、ガスの元栓を閉め、電気のブレーカーも落としてから、足早に一家で小学校へと向かった。
海岸に整備された防潮堤には、自主防の役員らが急行。平常時は所々で開いている門扉の閉鎖作業に当たり、津波襲来に備えた。