東海さんの自宅では、地震に備えた最後の準備や確認に家族がフル回転。備蓄の食料や水を確認していた伊豆美さんは「おじいちゃん、おばあちゃんも家に来たから、今のうちに水などが補充できれば」と、外に出た。近所のコンビニはまだ開いていたが、同じように物を買い求める人たちで大混雑していた。結局、ペットボトル入りの水1本を買えただけだった。店主は「できるだけ営業を続けたいが、品物の供給がどの程度続くか…」と困惑気味だった。
「最低限必要な程度の現金を手元に」と、言いつかった遠州君も、一番近くにある銀行の出張キャッシュコーナーに向かったが、そこは閉鎖されていた。10分ほど自転車を飛ばした支店内のコーナーは稼働していたが、長い列ができていた。
伊豆美さんが帰る道すがらの公園には、近所の志太さんがいた。声を掛けると「自宅で地震が起こるのを待て、というけど、うちは古くて心配だもんで。場合によっては、公園に避難しておこうかと思ったんだけど…」と悩んでいる様子だった。3軒隣の天城さんは、もう庭にテントを張り始めていた。「家の中より、たぶん安心だと思うから」と話しながら、建物から少し離れた場所を慎重に選んで、手足を動かした。
そのころ東海さんの家でも、駿河さんが帰宅した。より安全な部屋はどこかをチェック。耐震性のある家なら逃げ出しやすい1階がいいが、強度に不安があれば押しつぶされる恐れの少ない2階がベター。東海家は耐震補強済みで、家具を一切置いていない1階の8畳間がある。「少し狭いけど、今夜からはここで皆で寝よう」と決めた。