観測情報の詳細が、テレビニュースで流れた。「歪計データの変化が見られるのは、清水市と川根町で、昨日からゆっくりと縮みの変化を示し始めています。変化の量は小さいですが、この地点で過去にこのような推移の変化は例がなく、気象庁は注意深く監視を続けるとしています」
アナウンサーは最後に「気象庁は現時点で、判定会招集は考えていない、ということです。次の情報は2時間後に出されます。注意してください」と付け加えた。伊豆美さんの心に少し余裕が生まれた。電話が鳴った。駿河さんだ。「落ち着いて、家のことはとりあえず頼むよ」。伊豆美さんはこの機会に、身の回りのチェックを始めることにした。
たんすの上など高い所や、出入り口につながる場所に物が置いてないか、家具の固定が緩んでいないか―など、一通り目を配ってから、2時間後の続報をニュースでウオッチ。状況に変化はない。富士子ちゃん、遠州君が相次いで帰宅した。駿河さんも早めに帰ってきた。
夜は家族会議。「必ずしも地震が起こる、と決まった訳ではないから、みんな冷静に行動しつつ、万一にも備えよう」と駿河さん。警戒宣言が出たらだれが何をするかなど、家族の役割分担をはじめ、安否の連絡方法や集合場所などもいま一度確認した。