「面白い訓練に参加してきたよ」。自主防災組織の会合から帰宅した駿河さんが、皆に話し掛けた。「地図を使って、災害時の対応をイメージトレーニングするんだ。DIG(Disaster Imagination Game=災害図上訓練)というそうだ」
DIGは、自衛隊の指揮所演習のノウハウを災害時用に活用しようと、研究者や三重県のボランティアらが約5年前に考案した。
「どんなふうにやるの」。遠州君らが尋ねた。「まずは、自分たちの地域の地図を用意し、少人数のグループで地図を囲む。地震が発生したとの前提で、参加者が予想される被害や状況をイメージして、地図上に書き込んでいくんだ。××川の橋が落ちた、△△町の工場で火事が起きた、○○地区が津波で浸水した―とかね」
その上で、どういう行動、対応を取ったらいいかを、各自が考え、話し合う。「家が壊れて中から助けを求める声がする。どうするか?」「近所の人を集めて救出活動をする」「道具はどこかにあるか?」などなど、活発に議論を展開する。「ゲームみたいで面白そうだね」と富士子ちゃん。
防災の基本は、まず自分たちの地域をよく知ること。DIGはそのツールとしても有効だ。地図を囲んで考えることで、地域の強さや弱点を再認識でき、地震災害とはどういうものかを具体的にイメージする力や、判断力を養える。
静岡県は本年度、自主防へのDIG普及に本格的に取り組む予定。「準備が簡単で費用もかからないし、家庭レベルでもできるから、一度わが家でもやってみよう」と駿河さんが提案した。