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減災への挑戦~緊急地震速報

【5完】 命守る「数秒」 「耐震化」あってこそ

2007/09/29
 「緊急地震速報が発表されるとどうなるのか、さっぱり分からない。周りの人に聞いても知っている人はほとんどいなかった」。静岡市内の男性開業医(56)は困惑を隠さない。市役所に問い合わせて仕組みを知ったが、「せっかくの新しいシステムなのに、ほとんどの人が知らない状況では宝の持ち腐れになってしまう」と残念がった。
 県や静岡地方気象台などはチラシを配布したり、各所で講演会を開くなど周知に向けた取り組みを続けている。それでも県民に対する浸透が十分とは言い難いのが現状だ。
 気象庁が今月上旬に行った緊急地震速報の認知度調査では、速報を正しく理解できている人は50%にとどまった。開始時期については「10月から開始する」との正しい回答は半数以下の45%。
 一般提供される速報には、揺れの到達までの猶予時間などの詳細なデータは含まれない。今月8日、静岡市の県地震防災センターで開かれた地震防災講演会では、来場者から「何秒前から分かるのか」「大きな市では細かな地名まで知らせてほしい」との質問が相次ぎ、あらためて速報の意味を正しく伝える難しさをうかがわせた。
 東海地震の想定震源域は駿河湾から遠州灘沖にかけて東西約70キロ、南北約120キロ。発生の危険性を指摘され続けてきた県民にとって、緊急地震速報が東海地震で使える情報かどうかが最大の関心事になる。
 仮に想定震源域の南端、遠州灘沖で断層の破壊が始まった場合、揺れの到達までに静岡市で最大10秒程度の猶予があるとされる。一方で、内陸部の直下から地震が始まった場合には速報が間に合わない可能性が強まる。
 県防災局の岩田孝仁防災情報室長は「たとえ数秒の間でも、体を保護したり家具から離れたりすることはできる。心構えができるだけでも効果はある」と説明する。緊急地震速報を模擬体験できる起震車の導入も予定し、一層の啓発に意欲を見せる。
 阪神・淡路大震災では犠牲者の大半が家屋倒壊による圧死だった。岩田室長は「想定震源域のどこから破壊が始まり、どの範囲まで割れるのかは誰にも分からないし、緊急地震速報で家の倒壊まで防げるわけではない。家具の固定や住宅の耐震化で身の回りの安全空間をしっかり築くことで、初めて速報が生きてくる」と強調した。
(この連載は社会部・石川善太郎、高林和徳が担当しました)

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8日に開かれた緊急地震速報に関する講演会。
来場者からは内容を問う質問が相次いだ
=静岡市葵区駒形通の県地震防災センター



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