東海地震で震度6強が想定される静岡市中心部の商店街。東海地震説が世に出る前の昭和30―40年代に建築されたコンクリートの建物が軒を連ねる。高度成長期から現在まで、県都の暮らしを支えてきた老舗商店街がいま、耐震補強をめぐって岐路に立っている。
「必要性は分かるが、もし耐震診断を受けて耐震補強が要ると結果が出ても困る」。ビルの共同オーナーの男性(73)が苦り切った。「工事の間はテナントにも休業してもらわないといけない。昔から検討しているが、答えはなかなか出ない」と複雑な胸の内を明かす。
県は来年度から「耐震性マーク」(耐震診断・耐震改修マーク表示制度)を導入する準備を進めている。国土交通省の要請を受け、財団法人日本建築防災協会などが昨年2月に制度化した。
建築基準法が改正された昭和56年以前の建築物でも、現行の耐震基準を満たせば耐震性を証明するマークを記したプレートを交付する制度。
県防災局は「プレートを店内に掲示することで、耐震性がない店より、ある店を選ぶ客が増え、結果的に商店街の耐震化も促進される可能性がある」と期待する。
対象は3階以上で延べ床面積約1000平方メートル以上のビル。ホテルや旅館、百貨店、公共建築物など比較的大きな集客施設が対象となる。商店街の個人店舗は対象から外れる可能性が高いが、耐震性で商業ビルを差別化する良しあしや今後の対象拡大を懸念する声は根強い。
3年ほど前に耐震補強に踏み切った呉服町名店街の「安心堂静岡本店」。多額の工事費のほかに、売り場も2週間にわたって休止した。木村敏明店長(51)は「お客様と社員の安全を考えて上層部が決断した。負担が大きいので、商店街の他の店舗にも簡単に耐震補強したらどうですかとは言えない」と気遣う。
老舗商店の跡継ぎの男性(32)は「今後表示制度が普及していくと、(対象ではなくても)耐震補強をやらなければ生き残っていけなくなるかもしれない」と頭を抱える。
県内に330以上ある商店街。昭和30―40年代の建築物も多い。長引く不況の中、耐震安全性と懐事情の板挟みは深刻さを増している。
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県総合防災訓練が「防災の日」の9月1日に開かれる。メーン会場となる静岡市の姿を通して県内の防災課題を探った。