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県都の備えは…-2008・9・1 県総合防災訓練-

【3】孤立集落救う“ローテク” 標示シートに再び脚光

2008/08/30
 岩手・宮城内陸地震であらためて課題となった孤立集落対策。県内でも377の集落で孤立が予想される。孤立時に被災地のニーズをどう外部に伝えるか―。市街地だけでなく94カ所もの孤立予想集落を抱える静岡市にとっては深刻な問題だ。衛星携帯電話などのハイテク機器は、高額な上に電源や障害の不安が付きまとう。そんな中で、24年前に県が開発した“ローテク”が再び脚光を浴び、同市も今回の訓練に取り入れる。
 昭和59年に県が独自に開発し、610集落に配布した「救援要請標示シート」。39年の新潟地震の際、孤立住民が屋根や道路に「水、メシタノム」などと書いたのがヒントになった。
 12畳ほどの大きさの黄色いシートに集落名などが記してある。「食料」「水」「医者」「けが人」などと記した3畳ほどのシートと組み合わせて道路や空き地に広げれば、上空のヘリに集落のニーズが伝わる。当時は鳴り物入りで配布したが、いつしか訓練でも使われなくなっていた。
 24の孤立予想集落を抱える島田市。7月、倉庫に眠っていた標示シートを何年ぶりかに実際に広げてみた。職員2人が1分ほどで簡単にシートを展開し、庁舎の上からはっきりと文字が見えることを確認した。市民安全課課長補佐の大倉宣郎さん(53)は「存在は聞いたことがあったが、初めて広げた。空から見やすそうだし、有効ではないか」と期待する。
 「誰でも簡単に使えて、電池もいらない。シンプルなローテクほど災害時には頼りになる」と県防災局防災情報室長の岩田孝仁さん(53)。シート開発に携わった岩田さんは「大きさや字体を決めるため、空から何度もヘリコプターで見てもらいながら試行錯誤した」と振り返る。
 ローテクは四半世紀を経て最先端のハイテク技術と結ばれつつある。JAXA(宇宙航空研究開発機構)が平成18年に打ち上げた地球観測衛星「だいち」は、地球上のあらゆる場所をカラー観測できる。ヘリが飛ばなくても、孤立集落に広げられたシートを「だいち」が宇宙から発見する。
 岩田さんは「当時はこんな未来は考えていなかった」とし、「標示シートの有用性を見直すことで、将来は人工衛星でリアルタイムに孤立集落の状況を把握するシステムがつくれるかもしれない」と活用を模索する。

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救援要請標示シートを広げる島田市の職員=同市役所



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