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二万五百人中、一万一千七百人―。政府の中央防災会議がまとめた東南海・南海地震の最大被害想定では、津波による死者を半数超と見込んだ。特に高知県沿岸部には地震発生から最短数分で、最大十メートルを超える津波が襲う恐れがある。
「水深が浅いほど、波はゆっくり伝わる」と東大地震研究所の島崎邦彦教授(地震学)は説明する。津波は海底が上下に大きくずれる地殻変動が原因。発生直後は時速約七百キロに達するが深さ二○メートルでは時速約五十キロになる。海岸に近づいた第一波に後続の波が追いつき、重なり、一気に盛り上がる。
中央防災会議の専門調査会では「震源域でなくとも津波が起こることがある」と指摘された。地震動を起こす激しい断層破壊だけでなく、緩やかな地殻変動も海水を大きく動かすからだ。このため、同会議は比較的揺れの小さい大分、宮崎県でも津波被害者を最大二十人、五百人と想定した。
「津波は一回来たら終わりと思われていないか」と心配するのは阪神大震災を機に作られた「人と防災未来センター」(神戸市)の河田恵昭センター長。東南海・南海地震の津波は六時間にわたり繰り返し押し寄せる。島崎教授も「第一波より二、三波の方が海底の跳ね上がりのパワーが乗って大きい」と解説する。
地理的には「波が集まる岬の部分が危ない」と島崎教授。しかし湾の奥も安全ではない。河田センター長は「津波の波は弱まりにくい。湾に入った波がピンボールのようにあちこちぶつかり、重なり合う可能性がある」と危ぐする。
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