気象庁は二十八日、東海地震の新たな情報体系について説明し、準備行動をとる合図となる注意情報の発表時期は「警戒宣言までの半日から数時間程度前になる」との見通しを示した。
同庁は、情報の見直しで(1)被害想定が広域化し、警戒宣言からの防災対応では準備が困難(2)観測情報の運用が単なるデータの異常から警戒宣言直前まで幅が広すぎる(3)受け取った国民が行動の基準として分かりやすいこと―をポイントに検討を進め、地震防災対策強化地域判定会や地震予知連絡会の委員からも意見を聞いた。
一九四四年に東南海地震の直前に記録された地殻変動を参考にシミュレーション(模擬的な再現実験)を重ね、情報の発表時期のめどを固めた。ただし、前兆現象の規模や発生場所によっては予知が困難となるケースもあり、突発的な発災への備えも必要としている。
本県と周辺の十九地点の体積歪(ひずみ)計のうち、三カ所以上で異常が見つかると招集される判定会の招集基準に変更はないが、同庁は「注意情報を発表するか否か、可能な限り判定会の委員に検討していただく」(地震予知情報課)と説明。判定会の招集は事実上、前倒しされることになった。
判定会の溝上恵会長は「随分時間がかかったが、実効性のある対策にたどり着いた。政府が総力を挙げてやらなければここまでできなかっただろう。深い感慨がある」と述べた。
◆東海地震防災基本計画の要旨
二十八日に政府の中央防災会議が決定した新しい東海地震防災基本計画の要旨と修正の主なポイントは次の通り。
東海地震についてより的確な対策を講じるため地震像を再検討した。強化地域の拡大や社会経済情勢の変化などを踏まえ「東海地震対策大綱」を決定した。防災都市づくりのため、強化地域内およびその周辺部は大綱と防災基本計画などに基づき、たゆまず努力する必要がある。
【警戒宣言が発せられた場合の基本的方針】
東海地震注意情報が出された場合、国や自治体は職員の緊急参集や連絡体制を確保する。準備行動では経済的影響について配慮する。東海地震予知情報に基づき警戒宣言が発せられた場合、地震災害警戒本部を設置。防災関係機関の広域活動は東海地震応急対策活動要領などに基づき実施する。
【地震防災強化計画の基本となるべき事項】
気象庁が東海地震注意情報を発表した場合、防災関係機関は担当職員を緊急参集して情報の共有化を図る。政府は準備行動の開始を公表、官邸対策室を設置し「準備体制」をとる。救助部隊、医療関係者などの派遣準備、児童・生徒の帰宅など時間を要する準備行動をとる。社会的混乱防止のため、報道機関の協力も得て、地域住民に東海地震注意情報の意味を周知し、旅行の自粛など適切な行動を呼び掛ける。
鉄道は警戒宣言まで、需要にこたえるため極力運行を継続する。
警戒宣言が発せられた場合、コンビニなどの営業確保に必要な物資輸送のため必要な対策を講じる。強化地域内の住民の日常生活に支障がないよう、必要な範囲でキャッシュサービスなど金融機関の営業を継続する店舗を広く周知し、混乱防止に努める。
市町村は帰宅困難者保護のため、避難所設置などの対策を講じる。
強化地域内の市町村は詳細な震度分布や津波の高さの分布をもとに区域を細分化し、市町村内で複数の防災対応を計画することができる。
【地震防災応急計画の基本となるべき事項】
病院や百貨店などは耐震性など安全が確保されている場合、営業を継続できる。
【総合的な防災訓練に関する事項】
強化地域の総合防災訓練は、国レベルで実施する広域県際訓練であり、できる限り民間企業、住民の参加を得て実施するよう配慮する。地震予知情報などの伝達、警戒宣言前からの準備行動、本部の設置運営など各種の対策にかかるものを年一回以上実施する。
この計画のうち、警戒宣言や宣言前の情報を踏まえた防災対応に関する事項は二〇〇四年一月五日から適用する。
(2003年07月29日朝刊掲載)