気象庁は二十八日、東海地震の前兆の疑いがある異常をとらえた際に出す予知関連情報の改正を発表した。異常の進展度合いに応じて「観測情報」「注意情報」「予知情報」の三段階で、地震の切迫度を発信する。「注意情報」は防災準備行動開始の合図に位置付け、従来より前倒しを図った。新しい情報は地震防災基本計画の改正施行を受けて、来年一月五日までに正式運用される予定。県や市町村、防災関係機関は、地域防災計画や防災強化計画などの改定を急ぐ。
第一段階となる「観測情報」は、観測網内で異常な地殻変動や地震活動が確認され、現象と東海地震との関連がすぐに評価できない際に発表。第二段階の「注意情報」は、異常が東海地震発生のサインとなる陸と海のプレート間の「前兆滑り(プレスリップ)」の可能性が高まった場合に出される。第三段階の「予知情報」は異常を前兆滑りと認め、地震発生の恐れが強くなった場合に発表し、警戒宣言へとつながる。
東海地震の予知関連情報は従来、現象が地震と直接関係ない場合の「解説情報」と、異常の推移を見守る段階の「観測情報」、地震防災対策強化地域判定会の招集を伝える「判定会招集連絡報」、地震への警戒を促す「警戒宣言(地震予知情報)」という体系になっていた。関係機関は判定会招集連絡報を準備行動の合図とし、一般社会は警戒宣言で地震への備えを本格化すると定めていた。
気象庁は、観測技術の向上などで前兆滑りの疑いをより早い段階で判断できる技術的なめどが立ったとして、観測情報を二段階にレベル化し、注意情報を新設。解説情報は観測情報内に統合し、判定会招集連絡報は廃止する。注意情報は、弱者の避難や児童・生徒の帰宅、旅行の自粛など、具体的な防災準備行動の開始を促す情報とし、発災時の被害軽減を目指す。
▼公共施設耐震化を促進-石川嘉延知事の話
黄色情報(東海地震注意情報)が明確に出されることになるとさまざまな準備が行えるのと並行し、柔軟にさまざまな市民サービスが継続できる。混乱が随分避けられると思うし、いろいろな不便が緩和される。地震予知技術の進歩に伴った成果が出てきているわけで歓迎すべきことだ。情報の出し方の変化とともに、特に建物の耐震化が大きな柱になっている。国も本格的にこの問題についての取り組みを強化する方針。特に公共施設については今後、助成措置を伴っていくことがポイントになる。国も手当てしてくれると確信しているので、それらを受けながら市町村の公共施設耐震化の一層の促進を図っていきたい。
■決定基本計画を修正-中央防災会議
政府は二十八日、首相官邸で中央防災会議(会長・小泉純一郎首相)を開き、地震防災基本計画の修正を決めた。地震の切迫度に応じた三段階の情報による行政や住民の対応を明確化。社会・経済活動の混乱を最小限にくい止める施策を目指した。
鴻池祥肇防災担当相は会見で「計画倒れにならないよう、具体的に実行しなければならない」と述べた。施行期日は〇四年一月五日だが、関係機関の準備が整えば速やかに新体制に移行する。
東海地震観測情報では通常の業務を続けながら情報収集などに当たる。東海地震注意情報が出ると政府や自治体は救助救急や消火部隊、医療関係者の派遣準備、広報活動などを開始。東海地震予知情報により警戒宣言が発令され、警戒本部の設置など地震防災応急対策を実施するなどとした。
会議では、〇四年度に政府が推進する防災対策の重点項目も決定した。
「住民の的確な対応には公共建築物の耐震性の把握が不可欠」とし、学校や病院、防災拠点の耐震リストを地域住民に周知。防災情報システムの整備も戦略的に進める。
(2003年07月29日朝刊掲載)