直前予知の期待がかかる東海地震。一方で、突発の恐れも強い。地震の前に何をしておくか、予知への対応は十分か―。「備え」の大切さは一段と増している。一日を中心に行われた県総合防災訓練では、事前対策に焦点を当てた内容も各地で見られ、関係者が地震への心構えを新たにした。
「自分たちの住む地域は安全なのか、を知るのが防災の第一歩」。袋井市西部の木原自主防災隊は、あらかじめ作った防災地図を現場で確認する訓練に取り組んだ。
被害を最小限に抑えることを主眼に、防火水槽や消火栓の位置、状況を一つずつ入念に点検した。現実は案内表示が不鮮明だったり、バールを使ってもマンホールのふたが開けられなかったりするなど「実際に目で確認して、予想していなかった新しい課題が浮き彫りになった」と鈴木弘隊長(65)。
防災委員の藤城聖さん(59)も「新興住宅地化や区画整理などで、消火栓の位置が認識と違っていた。しかも専用の道具、ホースがないと、いざという時に全く使えない」と図上訓練時のイメージとの違いを語り、「地域を知っておく」訓練の意義を実感していた。
予知を“減災”につなげたいと、警戒宣言時の要避難地区に指定されている駿東郡長泉町桃沢地区では、お年寄りや子供などの「要援護者」の早期避難訓練が行われた。
警戒宣言のサイレンで、家族に連れられた高齢者や児童らがグラウンドに集合。役場からは町職員が車で急行し、避難者の住所、氏名などを確認後、分乗して福祉避難所となる同町下土狩の在宅福祉総合センター「いずみの郷」に運んだ。
「時間がかかる要援護者の避難を迅速に進めるには、手順をしっかりと決め、訓練で確認することが大事」と町担当者。早期避難訓練には昨年から取り組んでいる。
来年一月から運用され、防災準備行動の合図となる「注意情報」では、弱者の避難開始も対応の一つ。「次回は注意情報を取り入れて試みたい」と担当者は意欲的だった。
◇
■県警、6千人を動員
県警は一日、全職員約六千人を動員して東海地震に備えた防災訓練を実施した。
判定会が招集されたとの想定で午前六時四十分に非常招集をかけ、県警本部内に災害警戒警備本部を設けた。一時間後の七時四十分には当直を除いた参加可能人員の約81%に当たる四千百三十人が各署、本部などに集まり、八時四十分までには全員が各部署にそろった。
九時半に地震が発生したとして災害警戒警備本部から災害警備本部に切り替え、百六十六人体制で県内各地の被害、治安などの情報を収集した。
(2003年09月02日朝刊掲載)