切迫性が指摘される東海地震に備え、県内の百貨店五店舗が加盟する県百貨店協会(会長・霜島隆弘松坂屋静岡店長)は警戒宣言前の「注意情報」の段階で営業を中断し、閉店する方針を固めた。百貨店は建物の耐震性を向上させ、警戒宣言時も営業継続可能とされたが、商圏が広範囲なため、公共交通機関がほぼストップする警戒宣言の前に店を閉じ、顧客を帰宅させる安全確保を優先する。
七月に政府の中央防災会議(会長・小泉純一郎首相)が決定した新しい東海地震防災基本計画では、百貨店は警戒宣言の発令時、建物の耐震性など安全を確保していれば営業を継続できるとされた。県百貨店協会加盟店は今夏に静岡伊勢丹が耐震工事を終えるなど三店が既に耐震性を確保。残る二店も耐震工事の準備を進め、ハード面では警戒宣言時も営業できる態勢が整ってきた。
しかし、警戒宣言が発令されると、鉄道など公共交通機関はほぼ止まってしまうため営業を継続した場合、顧客が帰りの交通手段を失い、帰宅困難となる恐れがある。
このため、注意情報から警戒宣言まで「半日から数時間程度前」とされる時間に店を閉じ、顧客を帰宅させる方が顧客の安全確保につながると判断した。顧客の帰宅後には従業員も帰宅させる。 年内をめどに顧客に注意情報での閉店方針を知らせる広報活動を開始する。実際の場面で、顧客が混乱しないようにする狙いがあるとしている。
県協会が入る関東百貨店協会と中部百貨店協会は「東海地震防災対策・百貨店連絡協議会」を十月三十日に発足させ、静岡市内で初会合を開く。県協会のような発災直前の対策を強化地域内の百貨店の共通課題ととらえ、業界として対策の強化を図る。
県防災政策室は「詳細が分からないので正式にはコメントできない」とした上で「一般には(今回の計画で)百貨店は耐震性が確保されれば営業できるとされたので、注意情報の段階では県民が日常生活を送れるように小売業界としての役割を期待したい。そうはいっても(百貨店には)施設管理者としての立場もあると思う」とし、県協会の考えを聞くことにしている。
(2003年10月04日朝刊掲載)