「注意情報」をどう防災に生かすか―。このほど袋井市で開かれた県自主防災活動推進大会で、来年一月五日から運用される東海地震の新しい事前情報への対応をテーマにパネル討論が行われ、各界からのパネリストが意見交換した。情報の啓発や伝達体制の在り方、準備行動を行う上で検討すべき課題などが浮き彫りとなり、聴衆が新情報への理解を深めた。
▼注意情報と警戒宣言
内閣府の筒井智紀参事官補佐が冒頭、注意情報の概要と対応の基本的な考え方を説明。「警戒宣言と違って、一般の人の行動を規制する情報ではない。政府も直ちに万全の対応を取るわけではない。一般の方々には家具の固定や、非常持ち出し品の点検など、必要な準備を始める合図と理解してほしい」と述べた。また、注意情報から地震発生までの時間的余裕について筒井氏は「気象庁のシミュレーションでは、歪計に前兆的変化が表れてから地震までは二、三日以内で、その中で注意情報発表から警戒宣言までの時間は五時間から半日程度と考えられている」と目安を示し、注目された。
▼伝達、啓発を確実に
原田英之袋井市長は行政の立場から、大事なポイントとして「注意情報とは何なのか、何をすればいいのかをきちっと住民が理解できるようにしなくては」とし、そのために注意情報を想定した訓練を重ねることの重要性を指摘。今村純子県自主防災活動推進委員は住民レベルへの浸透のために「各地区、あるいは学区単位であらためて注意情報についての講座を徹底して開いてほしい」と行政サイドに要望した。
また、注意情報が出た場合に確実に伝えるために原田市長は「警戒宣言で鳴らすことになっているサイレンのように、統一したシグナルを決めるべき」とし、今村氏も「家庭には高齢者や寝たきりの人など、さまざまな人もいるので、テレビなどだけでなく全体にくまなく情報を伝える体制を望みたい」と求めた。筒井氏は「マスメディア以外の情報の伝え方を国としても十分検討したい」と述べた。
▼企業や学校の対応
ヤマハ発動機の田中巧総務グループリーダーは、企業としての対応について「わが社は従来、判定会招集報で業務停止、帰宅としていた。新情報への対応は検討中だが、基本的には注意情報を判定会招集報に置き換えることになろう」と説明。注意情報の新設を「現在よりも行動の基準が明確になった」と評価した。
宮本正顕浜松市立新津小校長は児童・生徒の帰宅対策について「できるだけ早めに対応し、子供の移動は最小限に、と考えている。九月には注意情報を念頭に引き渡し訓練も行った」と述べ、学校に集まると予想される自主避難者対策についても「地域との連携や施設開放の対応、避難所運営体制など、検討を進めている」として、平時からの準備の大切さを強調した。
日本生協中央地連の五辻活大規模災害対策協議会事務局長は、生活物資の確保を担う流通業の立場から「基本的には注意情報や警戒宣言、発災時にも、全力を挙げて営業の継続あるいは早期再開をしたい」とした上で、「品切れを起こさないために注意情報の段階で物資の送り込みをする場合でも、交通規制や配送担当者の安全確保など、リスクを伴う難しい課題があるのも現実」と述べ、行政との十分な連携が必要との見解を示した。
(2003年12月01日朝刊掲載)