気象庁は東海地震の前兆の可能性があるデータが観測された場合の情報公表方法に、新たに黄信号にあたる「注意情報」を加え、危険度が低い順に「観測情報」「注意情報」「予知情報」として運用を始めた。注意情報の意義について、地震防災対策強化地域判定会の溝上恵会長に聞いた。
―注意情報が新設されたことの意義は。
「国や自治体が防災対応を早く始められる。企業や個人にとっても自由意思での対策を任される貴重な情報だ。これまでは、営業停止や交通制限など強制措置を伴う警戒宣言が突然、出ることに対する不安があった。宣言が出てから地震発生まで非常に時間が短い可能性もある。警戒宣言につながる予知情報は、プレート境界の動きが確実に地震発生の段階に入ったと判断してからでないと出せない。そこまで断定できなくても二つの観測点に異常が現れ、疑いが強まりつつある段階で注意情報として公表することで、防災の準備行動をスタートできる」
―単に警戒宣言の前倒しではないかとの受け止め方もあるが。
「注意情報の科学的根拠をきちんと理解してほしい。注意情報が出たら可能性が高まっているということであって百パーセント確実に東海地震が起きるということではない。解除されることもありうる。この点は受け止める側の理解が必要」
―注意情報後、どんな展開が考えられるか。
「すぐに予知情報に移る可能性もあるし、幅がある。心配なのは東海地震の震源域の三分の一強が海底にあること。陸上の観測点で異常をつかまえ注意情報を出しても、その後、怪しい動きが海底に移ってしまうこともあり得る。すると陸上の観測点では異常は見えなくなり、今の基準では注意情報は解除される。発生前に再び陸上の観測点で異常はつかまるが、その時点ではもう切迫してしまっている」
―東海地震は、いつ起きてもおかしくないと言われて久しい。
「東海地震対策のそもそもの出発点は、東南海、南海地震と連動して起きていた東海地震に空白域があるということだけだった。当初は、いつ起きるかというデータは何もなく、ある意味誤解から始まった。でもおかげで観測網が整備され、地震にぎりぎり間に合った。地震学も進歩し、観測精度の向上で注意情報が出せるようになった成果は大きい」 (共同)
(2004年01月29日朝刊掲載)