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東海地震は今 耐震

〔2〕診断 

「倒壊の危険あり」

2004/06/07

 一階の納戸の改め口を開き、天井裏にデジタルカメラを差し込んだ。撮影した画像を確認すると、梁(はり)と柱の接合部から斜めに筋交いが走っている。「図面通りですね」。建築士の久保田康之さん(52)がうなずいた。熱海市熱海の竹原稔さん(69)方。専門家が大地震に対する住宅の耐久力を無料で調べる耐震診断が進められていた。
 「とにかく、家の状態を専門家に見てもらいたい」。診断に積極的だったのは妻の好子さん(66)だった。木造二階建てのわが家を建てたのは昭和五十二年。老朽化した家が大地震に耐えられるのか、気掛かりだった。市役所に診断を申し込んだ。県の診断補強相談士の資格を持つ久保田さんが派遣されてきた。



 久保田さんは部屋を歩き回り、図面と照らして異なる点をメモ帳に書き記していく。壁の量、配置なども点検。家の外では、基礎部分や外壁のひび割れなどをくまなく確認した。
 後日、調査結果を数値化した耐震評点を算出した。「〇・五九」。大地震に対し、一応の安全を担保する評点一・〇に達しない「倒壊、大破壊の危険あり」との診断だった。一方に壁が偏っているバランスの悪さが大きな減点材料になった。久保田さんの経験上、旧建築基準法の昭和五十六年以前の住宅で「大地震にも大丈夫」と太鼓判を押せるケースはまずない。



 静岡市清水石川の中谷智恵子さん(74)と二男林太郎さん(39)は、居間のテーブルを挟み、建築士望月広道さん(53)と向き合っていた。補強計画の説明を受けていた。
 無料の専門家診断の次のステップが補強計画の作成。建築士がさらに精密な診断を行い、どんな耐震補強が必要かを提案する。
 中谷さん方は昭和五十三年築の木造二階建て。評点は「やや危険」とされる〇・九二だった。望月さんは約百四十万円をかけて一階部分の壁を強化し、評点を約〇・四ポイント上げる計画を示した。
 当初は「何もしないでも大丈夫ではないか」とも考えていた林太郎さんだが、「母親のために」と思い直した。費用も林太郎さんが引き受けた。「倒壊を防げれば一安心かなと。でも、精いっぱい。これ以上、費用は出せないよ」。冗談めかした言葉に母への思いやりがにじみ出た。
(「東海地震は今」取材班)


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図面と照らしながら耐震診断を進める建築士の久保田さん(左)

=熱海市熱海の竹原さん方



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