愛知県豊橋市から私鉄電車に乗り、三十分間ほど。渥美半島中央部に広がる田園都市・田原市。人口約四万三千人。昨年八月二十日、田原町と赤羽根町が合併して誕生した。
「以前は海だった市街地の地盤が最悪。大地震が来たら危険だ」。同市建築課の太田次男課長補佐は憂う。町職員からたたき上げの白井孝市市長の危機感はさらに強い。昭和十九年の東南海地震の記憶が鮮烈なだけに、全国でも破格の住宅耐震工事補助を打ち出した。
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所得に応じて助成する額は七十万円か百万円。県から三十万円の補助が出るので最高額は百三十万円。トヨタ自動車田原工場など優良企業を持ち、財政が安定しているがゆえの手厚い支援だ。
「個人の住宅に税金をどこまで投入すべきか」。適正額をめぐって職員間で熱い議論が交わされた。「大切な命を守る」「倒壊家屋の片付けを考えると転ばぬ先の杖」。積極論が大勢を占めた。個人差はあるが、住宅補強の平均を約二百万円とみて、その半分の百万円補助で決まった。
高額補助だけに耐震診断実施率、補強工事進ちょく率は県内でも一、二位。だが、対象約四千七百棟のうち平成十七年までの工事見込みはわずか四十七棟。太田課長補佐は「家をつぶすというイメージがあって決意しづらい」と推測。「診断が〇・二や〇・三と出た家は普通の地震ですら倒壊する。本当に手を入れたいのはこういう家だが、改修に五百―六百万円もかかるので踏み切れない」と苦悩する。
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人口約三百五十万人の政令市・横浜。「同じ港町」と阪神・淡路大震災が発災後、南関東地震に備え、高秀秀信前市長の対応は素早かった。
平成七年度、いち早く住宅耐震改修工事費用として無利子で四百万円まで融資する制度を設置。改修だけでなく建て替えも利用可能とした。十一年度には対象六百万円で一律二百万円補助する制度も創設。十三年度からは所得に応じて上限五百四十万円まで補助。融資と補助は併用できるのが特徴だ。今年は補助上限を四百五十万円とした。
ところが、この充実した制度さえも利用者は増えない。寺岡洋志同市民間住宅課長は「危機意識をもっとあおらなければならない。古い住宅は高齢者が多く、多額の借金は難しい。ファミリーカー購入費の百五十―二百万円ほどで済めばいいのだが」と対策を練る。(「東海地震は今」取材班)