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富士常葉大 防災ゼミナール

②新しい地震対策 P波とらえ被害軽減

2004/07/13

 地震に襲われる前、発生することを知っていれば助かるのにというような考えは古くからありました。江戸時代には鯰(なまず)の地震予知能力を信じて、鯰絵や要石信仰が盛んであったのもそうした考えの現れだったのではないでしょうか。明治時代以降になると、鯰の行動と地震発生との関連を研究テーマとして取り組んだ学者もいましたが、いまだに因果関係は証明できていません。
 地震予知を全面的に社会の仕組みに取り入れるにはまだ時間がかかるかもしれませんが、地震波速度の違いを利用して秒単位のごくわずかな時間を被害防止策に利用する構想があります。地震波にはP波(縦波、秒速六―七キロ程度)、S波(横波、秒速三・五―四キロ程度)、レイリー波、ラブ波があり、P波は固体や液体を伝わるがS波は固体中しか伝わらず、レイリー波、ラブ波は地表面のみに伝わるなどそれぞれ性質が異なります。新幹線の緊急自動列車停止システム「ユレダス」は、実用化された代表的なものと言えます。気象庁も平成十四年からナウキャスト地震情報と称して、予測される震度を含んだ「予測報」を一般に提供する研究を行ってきましたので、近いうちに公開されると思われます。これで地震対策が全て解決するわけでありませんが、効果が期待される分野は多方面に広がるのではないでしょうか。
 こうした構想の利用開発を目的としたリアルタイム地震情報利用協議会は、文部科学省の委託を受けて活動を始めました。その活用例として消防職員の連絡及び招集を自動化し、消防自動車の車庫扉を自動で開いて出動の準備をする。医療関係向けとしては、患者の安全確保のために手術室とナースステーションへ地震到着時間と震度の表示をする。また、統制台から信号を発して家庭用LPGボンベの弁を自動的に遮断する、またエレベーターを最適階へ自動停止させるなど、色々な利用開発の実験が行われています。その中でも、学校内に地震計を設置してP波をキャッチしたら、校内放送を使って授業中の学童を机の下に避難させたり、小さな地震の時には震度6のシミュレーション画像をテレビに放映して揺れを体験させるなどの実証実験が、仙台市内の小学校で現在進められています。(井野盛夫・環境防災学部長)

 

※富士常葉大防災ゼミナールは原則として毎週月曜日の静岡新聞朝刊「週刊地震新聞」で連載中です。


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