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富士常葉大 防災ゼミナール

③東海地震の被害想定 発災時間や気象で差

2004/07/19

 我が国における地震被害想定の始まりは、一九六二年三月に警視庁警防部および陸上自衛隊東部方面総監部によってとりまとめられた「大震災対策研究資料」であると言われている。関東大震災の再来を想定し、震災後の治安維持対策等を考慮したものであった。一方、地方公共団体によるものとしては、一九七八年に東京都が東京区部の地震被害想定を公表し、同じ年、静岡県でも大規模地震対策特別措置法の公布を受け、「第一次東海地震被害想定」を公表したのが最初である。その後、中央防災会議をはじめ数多くの自治体が地震被害想定を行っている。
 同じ「東海地震」という名の地震の発生を前提とした被害想定でも、想定の前提条件、想定手法等の違いにより異なった結果が複数存在する。例えば、昨年、中央防災会議が公表した想定東海地震の被害想定では、県内の揺れ・液状化による建物全壊棟数は約十五~十七万棟、建物倒壊による死者数は予知情報無し、朝五時のケースで五千五百~六千百人と、県が公表した第三次地震被害想定結果の大破棟数約十三万棟、建物倒壊による死者数約四千六百人に比べ、大きめの数字となっている。
 このように、様々な数字が出てくると市民が混乱するのでは、という意見もあるが、数字的な差こそあれ、地盤が悪く震源に近いところでは揺れが大きく、地盤の良いところ、震源から離れたところでは相対的に揺れは小さい。また、静岡県内の概ね全域が震度6弱以上の揺れに見舞われ、新耐震基準の適用を受ける以前の古い建物、特に老朽木造家屋に大きな被害が生じる、といった基本的な事柄は共通である。
 被害想定の役割は主に、対策を考える上で、その前提となる地震や被害のイメージを具体化し共有しておくことにある。被害想定結果の受け手である行政や市民も数字の大小に一喜一憂することなく、どこが危険なのか、どのような対策をすべきか、といったポイントを読み取る事が重要であろう。
 一方、残念ながら現在の科学技術には限界があり、今後発生するであろう地震の震源や発生時期(季節・時刻等)、その時に気象条件等を予め精緻に予測しておくことは困難であり、そうなると考えうる様々な条件下での地震の発生を柔軟に想定しておくことが必要となる。イメージの固定化は逆に対策を誤らせる危険性がある。(池田浩敬・環境防災学部助教授)

 

※富士常葉大防災ゼミナールは毎週月曜日の静岡新聞朝刊「週刊地震新聞」で連載中です。


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