静岡新聞のニュースサイトへようこそ。本ページはスタイルシートとJavascriptを使用しています。
静岡新聞 > 特集一覧東海地震は今連載企画一覧 > 富士常葉大 防災ゼミナール

ここから本文

富士常葉大 防災ゼミナール

⑦地震災害とメディア 情報「知る努力」怠るな

2004/08/23
 予知が期待されてきた「東海地震」も、最も知りたい「いつ?」を確実に予知できると断言する研究者はもはや一人もいない。予知に頼らない減災対策こそが「東海地震」の最重要課題であり、減災のカギを握るのがソフト対策、災害情報といえよう。
 一口に災害情報といっても、事前情報から災害直前、直後などさまざまなものがあるが、近年注目されているのが災害を防ぐための事前情報であり、情報によっても人命を救おうという機運が研究者やマスコミの中に高まってきている。しかし、こうした防災に関する情報が受け手側の住民に無視されてしまったり、誤って解釈されたりしたら何の意味も持たない。災害情報は「より早く、より正確に、より確実に」伝達されなければならないが、肝心なのは情報によって住民がいかに的確な行動を起こすことができるかである。
 昨年九月二十六日の「平成十五年十勝沖地震」では、地震発生の六分後に「津波警報」が出た。対象地域は北海道の二十一市町に及んだが、住民に「避難勧告」を出したのは十四市町で、残る七市町は「自主避難」や「注意喚起」を呼びかけるのにとどまった。警報が出ても従来の経験から津波は来ないと自治体側が勝手に判断したらしい。警報の対象者は五万六千人に上ったが、指定避難場所へ避難した住民は16%にすぎなかったという。地震後に行った東京大学社会情報研究所のアンケートの結果を見ても、地震発生から津波の来襲まである程度時間的な余裕があるという誤った認識をしている人や、ほんのわずかな災害体験しかないのに、その「物差し」で自分自身や住宅の安全性を勝手に判断している人が多かった点が指摘されている。
 津波の被災体験を持つ北海道でさえこのような状況を見るとき、東海地域では、住宅の耐震化対策と並ぶ緊急課題は津波避難対策であろう。行政は津波災害の危険地域を知らせるハザードマップの作成と公表を急ぐべきだし、子供のころからの津波防災教育を急ぐべきである。近年、さまざまな災害で高齢者が犠牲になるケースが目立っている。高齢者や視覚、聴覚に障害を持ついわゆる災害弱者と言われる人たちに災害情報をどう確実に伝え、どう避難してもらうかを検討しておくことも行政やメディアの責任である。「災害時、情報が人の生死を分ける時代」にあって、行政側は「知らせる努力」を、また住民側は「知る努力」を怠ってはならない。
(吉村秀実・環境防災学部教授)

メール メールで記事を紹介 印刷 印刷する

十勝沖地震で釧路西港に押し寄せて渦を巻く津波=2003

年9月26日午前9時38分、北海道釧路市(第1管区海上

保安本部釧路航空基地提供)



[特集]

関連ニュース・バックナンバー




静岡新聞購読のご案内

デジ記者Webレポート

SBS動画ニュース

自然薯まつり

静岡新聞社の本

線路に沿って歩いたエッセイと細密画。今もそこにある、なつかしい風景と駅前の味。駅舎ファン必・・・[記事全文]
日本が見える47NEWS
47CLUB

携帯サイト案内

手のひらに最新ニュースを。会員にはメールも配信。お得なグルメ情報も掲載!携帯サイト「静岡新聞SBS」
携帯サイトについて
携帯サイト静岡新聞・SBS
ページのトップへ