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富士常葉大 防災ゼミナール

⑪災害医療 治療にも「順位付け」

2004/09/20
 風邪をひいたら近くのホームドクターへ。急病や大けがの場合は一一九番通報すれば救急車が来てくれて救急病院へ。いずれの場合も、医療機関に行けば処置してもらえる。私たちはこのことを当たり前に思っている。
 しかし、大規模災害の場合はそうはいかない。大病院に担ぎ込んでも処置してもらえないことも数多く発生する。どんなに治療したくともできないこともある。状況によっては治療しないということを選ばざるを得ないこともある。無論、そこには合理的な理由があってのこと。だからこそ、災害時の医療が平常時の医療とは大きく異なることを「あらかじめ」「きちんと」覚悟し、それに応じた備えをしておくというのが賢明だ。
 その理由は、医療の需要と供給とに著しい不均衡が生じるから、という一言に尽きる。医療機関も医療人も被災する。現代の医療には水と電気は不可欠だが、この供給も寸断されよう。医薬品や輸液・血液、医療器具のストックにも限りがある。だが、入院患者に対しては医療の継続は必要である。そこに押し寄せてくる多くの負傷者…。
 そこで必要となるのが「治療の順位付け」「医療機関の役割分担」である。前者は生命に別条がない患者は申し訳ないが後回しにし、今治療すれば救命の可能性がある(この機を失すると危ない)傷病者から治療しようということ。後者は、重傷患者は外科系・救急系の医療人・医療機関が担当し、軽傷の患者(単純な骨折程度は軽傷として扱われる場合も)は、外科系以外の開業医などがグループで避難所に出向いて面倒を見るということである。分かりやすく筋が通った考え方だと思うが、いかがであろうか。
 だからこそ、一般市民が重傷・中等傷患者は総合病院・救急指定病院など大規模医療機関に運び、軽傷患者は避難所に併設される救護所へ運ぶ(自ら歩いていく)なら、医療の需給の不均衡は最小限に食い止められる。重傷患者と軽傷患者の区別は、一人で歩けるか否かを基準とすればいい。これなら普通の市民にも判断可能である。ただし、柱や梁(はり)の下から救出された人は軽傷に見えても後で深刻な事態となる可能性があるため、特別な扱いが必要となる。念のため大規模な医療機関に運び、柱や梁の下から救出された旨を医療人に忘れずに伝えてほしい。
 このように見てみると、災害時の医療救護活動の成否は、医療人の課題というよりも、一般市民が災害医療の特徴を理解した上で、どれだけ的確に対応できるかにかかっている。さらに言うならば、究極の災害医療対策は、突き詰めれば自ら傷病者にならないこと。つまり、耐震診断・耐震補強・家具の転倒防止という地震防災の王道は、実は災害医療対策の王道でもある。 (小村隆史・環境防災学部専任講師)

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9月1日の県総合防災訓練でも医療救護訓練が行われた

=御殿場市



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