静岡新聞のニュースサイトへようこそ。本ページはスタイルシートとJavascriptを使用しています。
静岡新聞 > 特集一覧東海地震は今連載企画一覧 > 富士常葉大 防災ゼミナール

ここから本文

富士常葉大 防災ゼミナール

⑭災害の経済的側面 被害額の2割が日本

2004/10/11
 今年の夏は猛烈に暑く、同時に台風も多かった。日本に上陸した台風は観測史上最多であり、各地に深刻な被害をもたらした。
 もともと、日本列島は世界の中でも有数の自然災害国だ。マグニチュード(M)6以上の地震は世界全体の21%が日本で発生している。その上、火山噴火、台風、風水害、土砂災害、津波高潮など自然災害が多発する。このことは、日本列島の自然条件によるもので、地球誕生以来、何億年にもわたり繰り返されてきた自然現象として受け止めるべきものなのだ。
 このような自然現象が人里離れた山奥などで発生するのであれば、学者の研究対象にこそなれ、現実的には大問題ではない、といえる。しかし、現代の日本社会は、狭小過密な国土の制約の下で、僅(わず)かな利用可能な沖積平野(河川による土砂の堆(たい)積や河川の氾濫(はんらん)によって形成された低地や平地)に人口と産業が高密度に集中集積している。
 東京圏には全人口の四分の一が集中し、東京―名古屋―大阪を結ぶ東海道メガロポリスには、経済活動の六割強が集中している。東海道は新幹線で年間一億三千万人もの人々が移動し、また、高速道路で二億四千万台の車両が往来する世界最大の交通路である。もともと自然災害が多発する地球の上に高密度の市街地が形成されているのだから、わが国は災害の被害を受けやすい国ということになる。
 図でわかるように、世界全体の災害被害額のうち、日本の被害は実に18%を占めている。他方、同じ災害被害でも人命被害でみれば、世界全体の災害死者の僅か0・5%にとどまっている。このように我が国において自然災害は依然として多発するものの、幸いなことに人命等身体被害は戦後において顕著に減少してきた(不幸な例外は阪神・淡路大震災である)。
 災害の被害を最小限にする最良の対策は「予防」である。しかしながら、地震を含め自然災害は自然現象であり、その発生は不可避なのだから、100%完全な予防策はない、ということになる。
 一番確実な予防は、少しでも自然災害の危険がある地域の土地利用を禁止することである。とはいえ、私有財産制度の下では利用制限にも限度がある。結局のところ、平常時から万一の場合における「代替手段」を準備しておくこと、そして、発生した天災が二次被害などの人災に転化しないように復旧復興対策を速やかに実施することが重要だ。
 (柳沢勝・流通経済学部長・教授)

メール メールで記事を紹介 印刷 印刷する



[特集]

関連ニュース・バックナンバー




静岡新聞購読のご案内

デジ記者Webレポート

SBS動画ニュース

自然薯まつり

静岡新聞社の本

線路に沿って歩いたエッセイと細密画。今もそこにある、なつかしい風景と駅前の味。駅舎ファン必・・・[記事全文]
日本が見える47NEWS
47CLUB

携帯サイト案内

手のひらに最新ニュースを。会員にはメールも配信。お得なグルメ情報も掲載!携帯サイト「静岡新聞SBS」
携帯サイトについて
携帯サイト静岡新聞・SBS
ページのトップへ