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大震災10年「阪神」から「東海」へ

(5完)高まった危機意識 防災への結実、道半ば

2005/01/16
 現代都市のもろさをまざまざと見せつけた阪神・淡路大震災。惨状が社会に与えた衝撃は大きかった。「大多数の国民にとって歴史の出来事でしかなかった大震災が、現実に襲った。豊かになり、科学技術が発達したからといって、災害から隔離されたわけでは決してないということを、人々が知ったことが大きかったと思う」。当時、兵庫県都市住宅部長として対応に奔走し、今は国の防災政策立案のトップに座る柴田高博内閣府政策統括官は、震災の意味をそう語る。
 富士常葉大環境防災学部の重川希志依教授も、「阪神があり、さらにオウム真理教(現アーレフ)とか米同時多発テロなど、いろいろな形の危機が身近で起こった。人ごとじゃない、という意識は個々人の中で相当上がったと思う」と、震災を契機にした10年間で社会の危機意識は高まったととらえる。
 災害ボランティアの成長はそれが形になって表れた一例。その後の数々の災害も経て、「小さな問題点はあるけど、10年間で素晴らしい防災システムに育った」と重川教授は評価する。危機意識を形に変え、災害に強い社会づくりへと結実できるかが、今後の本県の命題だ。
 全県に広がる自主防災組織はその基盤。さらに「地域には多くのコミュニティーがある。『防災は自主防がやるからいい』で済ませず、さまざまなコミュニティーのネットワークで取り組むことが有効」と重川教授。林省吾消防庁長官は新潟県中越地震の教訓を踏まえて、「地域に精通した人たちの人海戦術がいざという時に必要」と、退潮傾向にある消防団の再興を訴える。
 一方で、「住民1人ひとりの知識や取り組みにはまだ課題が多い」と富士常葉大の井野盛夫教授は厳しくとらえる。「警戒宣言が出たら、学校に避難すればいい、と思っている人がいかに多いか。根っこには、『学校はシェルターのように安全』という間違った理解がある」と例を挙げ、「災害ボランティアのような人たちも生まれたが、防災は行政に依存、という意識の住民が増えている気がする」と、静岡の現状に懸念を表す。
 科学技術が進み、制度も整って、防災のための“道具”は10年で着実に充実した。しかし、「道具をそろえても、使う人の力が伴わないと被害は減らせない」と井野教授。「人の命を守るという地震対策の原点に戻るべき。阪神を本当に教訓としているか、いま一度県民に問いただしたい」と語り、啓発を担う行政、そしてメディアの一層の努力も望んでいる。
(「東海地震は今」取材班)

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新潟県中越地震で熱心に活動した本県からのボランティア。

マンパワーの広がりが東海地震の備えを固める=小千谷市内



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