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アフガン邦人男性拉致

伊藤さん無言の帰宅へ アフガン復興夢半ば

2008/08/30
 「ありがとう」「お疲れさん」―。6000キロ離れたアフガニスタンの未来を信じ、全力で走り切った5年だった。非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)のスタッフ伊藤和也さん(31)の遺体が30日夕、帰国する。夢半ばで、凶弾に倒れた。「遺志は継ぐ」。支援者らは、誓いの言葉を心に刻む。
 「アフガンの力になりたい」。伊藤さんは2003年12月から現地へ赴き、ジャララバード近郊のダラエヌールで農業支援に取り組んだ。丁寧な指導、優しい人柄。「イトー、イトー」。すぐに子どもが囲んだ。
 「まじめ」「おとなしい」。日本での姿しか知らない人は口をそろえる。同会の元農業指導員高橋修さん(77)=京都市山科区=は、着任直前に同市内で会った。第一印象は「こんなんで大丈夫かいな」。しかし、アフガンで再会するたびに、たくましく成長。「現地の言葉や人の顔も覚えていた。別人だった」。
 定期的にやりとりしたメールでは、芋や大豆などの状態や肥料の量などの相談が来た。苦労や愚痴はない。最後のメールは事件1週間前の18日。「8月中旬予定の帰国はキャンセルしました。次回は未定」。理由はなかった。
 忘れられない場面がある。昨年7月、一時帰国した時に「あと何年やる、という目標が必要。中途半端はだめだぞ」と話し掛けたが、無言で笑うだけだった。「今思えば、20年、30年という長いスパンで農業支援を考えていた。私の想像より、はるかに本腰を入れていた」と振り返る。
 アフガンに行く前、伊藤さんは当地で医療や教育の支援を進めるNGO「カレーズの会」(静岡市葵区)にも在籍した。「こんな、純朴で物静かな青年が…」。同会副理事長小野田全宏さんも同じ不安を感じた。
 事件後、アフガンから一時退避した支援団体もある。「現地事務所に電話を入れてみると、スタッフは全員、本当に悔しがっていた」という。「今まで以上にしっかり仕事するのが、彼への答えになる。遺志は必ず継ぐ」と強調する。

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