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アッチョンブリケな日々

藤田を人間不信にさせた時    

2008/05/19
 吉本興業の養成所「NSC」に入る前、僕は相方藤田に口が酸っぱくなるほど「養成所内で絶対に友達は作らないようにしよう。まわりはみんなライバルなんだ。なあなあな関係になっちゃいけないと思うから」と言い聞かせていました。そしてNSCに入学し、学校生活が始まると、藤田はちゃんと僕以外の誰とも口を利かずに僕の忠告を守っていました。
 しかし、NSCの授業の中で、唯一ダンスの授業だけは僕と藤田のクラスが違いました。僕は藤田のいないそのダンスの授業での孤独感に耐えきれなくなり、あろうことかその授業でどんどん友達を作っていきました。仲良くなった友達の中には、藤田のことを「ノリの悪い暗い奴だ」と言ってる友達もいて、軽く罪悪感を感じていました。
 そして入学して半年がたったある日の休み時間、1人ダンスの授業を終え、みんなのたまり場であるロビーを通りかかった藤田は、輪の中心で楽しそうに談笑している僕を見て白目をむいていました。それはそうでしょう、あれほど友達を作るなと言っていた当の本人が友達を作りまくり、よりによって輪の中心になって楽しそうにしているのを目の当たりにしたのですから。
 僕はそんな藤田に声をかけました。「そんな仏頂面してないで、お前もこっち来いよ。まったくお前はそういうとこあるぞ。仲間に入りたいんだろ? だったら入ってこいよ。芸人目指してる奴が楽しまなくてどうする」と。そしてまわりのみんなにもこう言いました。「こいつ極度の人見知りなだけで、やな奴じゃないからさ。仲間に入れてやっていいかな? 自分から話しかけたりできないだけで、実は友達欲しがっているんだ」と。その時の藤田の瞳にははっきりと「人間不信」と書いてありました。

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「アッチョンブリケな日々」はお笑い芸人の大村朋宏さんが、静岡新聞の毎月第3月曜日夕刊の「情熱細胞」に連載しているコラムです。

◆プロフィール 大村朋宏(おおむら・ともひろ) 1998年に結成したお笑いコンビ「トータルテンボス」のボケ担当。2006年「第6回M-1グランプリ」決勝5位の実力を持つ。沼津東高出身。32歳。
◆お知らせ トータルテンボス・大村さんへのメッセージは〒422―8670 静岡新聞社編集局「情熱細胞」係まで。Eメール(jonetsu@shizushin.com)やファクス<054(286)5944>でも受け付けています。

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