快適観戦へ環境充実
昨年、30年ぶりに富士スピードウェイ(FSW、小山町)で開催されたF1日本グランプリは運営上のトラブルが相次ぎ、地元も盛り上がりを欠くなど課題ばかりが目立った。今年のレースは今月10―12日。来年から鈴鹿との隔年開催となり、開催地間の競争も始まる。教訓はどう生かされたか、関係者の取り組みを探った。
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「声掛けの徹底を」。昨年の大会後、FSWの高瀬由紀夫F1事業本部長が運営の改善に当たり、社内の合言葉とした目標だ。前回の批判を受け止め、FSWは施設改修への投資と並行し、幹部を含めた意識改革に力を注ぐ。
小山町など地元2市1町でつくるF1連絡会が7月にネット上で実施した約1900人対象のアンケートは、会場運営について否定的な意見が7割近くに達した。特にレース後のバス運行トラブルの際、事態の説明や病人のケアに十分対応できなかった現場係員の態度を指摘する声が多く、トラブルそのものの記憶より、対処の失敗による悪印象をぬぐい去る方が難しいという現実を突き付けた。
今年、FSWはハード、ソフト両面で大幅な改善を施した。20数億円を投じた施設改修で、昨年バスの停滞を招いた道路陥没を防ぐため、すべての駐車場と路面を舗装。出口も増設してバス運行の円滑化を図った。最終日の入場者を前年より3万人減らし、出口にバスが待機する留め置き方式で、車内で出発を待てる態勢を整えた。
批判のあった飲食物販の価格も、出店業者との調整で適正化を図り、寒さ対策や会場の見どころを説明する「FSWの歩き方」、周辺の道路状況を携帯で確認できるサイトをはじめ、ネットでの情報発信も充実。スタッフの訓練も重ね、「快適な観戦環境に向けて、できることはやった」と高瀬本部長は力を込める。
ただ、今年は最終日が3連休の中日に当たり、周辺道路が昨年以上に混雑するのは確実。開催時期も10日遅く気温の低下が予想されるほか、会場での飲食ブースが相当数減ったため込み合う可能性があるなど不安材料は尽きない。
問題発生時の現場の対応が来場者の評価を決めることは昨年の経験からも明白だ。FSWにはスタッフ一体となった来場者目線の運営が求められる。