特産品で好機生かせ
「商店街は普段より人が少なかった。商売にはマイナスだ」。今春、F1に向けて準備態勢を協議する小山町内の関係機関の会合で、前回の期間中の閑散とした市街の様子を嘆く声が相次いだ。
交通手段が駅や駐車場と会場を結ぶバスに限られ、来場者が地元を見る時間は、バス待ちの間か朝や夜のみ。悪天候やバス停滞の影響もあり、町を散策する人の姿はほとんど見られなかった。
地元に経済効果はなかったのか。県東部支援局は昨年12月、県内事業所を対象に聞き取り調査し、県内の経済波及効果を24億5000万円と算出した。31億円という事前試算との差は、主に予定変更で県内の関与がなくなった分とみられ、同局は「ほぼ事前の試算通りの経済効果があった」と分析している。
地元関係者によると、主催者が地元に発注した弁当だけで3000万円超。ほかにクリーニングやタクシーなどが主催者の貸し切りとなった。来場者によって恩恵を受けたのは、レストランやコンビニ、防寒着を扱う若者向け衣料品店など。来場者層が若いだけに、若者になじみのない小規模店は苦戦する傾向が顕著に表れたとみられる。
地元から積極策に出て成功した例もある。小山町で酒店を営む桜井佳宏さんは、近所の主婦ら数十人の仲間とともに会場で飲食ブースを出し、主食類だけで8000食以上を売り上げた。予想外の寒さで弁当の売店が軒並み赤字となる中、20以上のメニューを現場で調理する方式で人気を集めた。
7年前からサーキットでの出店を続け、ノウハウを蓄積した桜井さんらにとってF1開催は待望の好機。「町に25万人も訪れる機会なんてほかにない。参加の実感を味わえるのも幸せ」と意気込み、今年は一層の売上増を目指している。
6月のF1連絡会のアンケートでは、「地元特産品に関心がある」と答えた来場予定者が57%に上り、地元の積極的な出店に対する期待が示された。より多くの企業や商店が参加して経済の活性化につなげるため、継続的な取り組みが必要だ。